株式会社ナガイ

当社は壁紙、木質のドア、キッチンなど、戸建て住宅向け建材の販売を行っています。なかでも当社の環境壁紙は、パルプなどの自然素材を主原料にフリース（不織布）を基材としており、壁紙としては珍しいFSC®認証を取得しています。国内住宅では、ビニールクロスの壁紙が90％以上を占める中、世界ではフリースを基材とした壁紙が、優れた耐久性、施工性からシェアを伸ばしています。人口減少に伴い新規住宅着工戸数も減少するなど、国内市場が縮小トレンドにある中で、新たに海外へと活路を見出そうと海外進出を決意しました。日本でも決してメジャーとは言えない当社商品が果たして海外で受け入れられるのか。それをどうやって確かめればよいのか。市場調査やF/S調査についてのノウハウが全くなかったため、ジェトロに相談して新輸出大国コンソーシアムに応募。日本から距離が近く、市場規模と経済成長力があり、自分が土地勘のあるタイを展開対象国に選定しました。

まずは2019年に現地開催の建材の展示会に出展しました。ハンズオン支援の専門家からは、海外での展示会で、自社や自社製品をどのように見せて展開していくか、集まった来場者情報をもとにどのように次のビジネスへとつなげていくかなど、細かなアドバイスとともに伴走いただきました。現地でも人材を採用し、代理店も選定しましたが、なかなか当社の思うようにはいかず、蒔いた種を次にどう育てていくかということを考えながら動くことの大切さを感じました。現地で採用した人材の定着は今でも課題で、なかなかノウハウが継承されていかない点は苦労しています。展示会での成果が見えてきたタイミングで、コロナ禍に突入し、渡航制限から対面営業が難しくなったことも痛手でした。苦肉の策でSNSを活用してウェブマーケティングを開始し、ようやくネット経由での発注も少額ながら出始めました。さらに増えれば、本格的なEC販売も将来的に検討していきます。