株式会社マクルウ
マグネシウム合金を独自技術で加工。高付加価値の製品を武器に、欧州への輸出に取り組む。
マグネシウム合金の加工・製造を行う。独自の加工技術により、実用金属の中で最軽量なマグネシウムの新たな世界を切り拓く。マグネシウムの特性を活かした部品や製品を通じ、様々な課題解決や付加価値の創造を目指す。
静岡県富士宮市 ウェブサイト
- 展開国・地域:
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・2018年 フランス
・2019年 フランスなど - 事業内容:
- マグネシウム合金等の加工・製造
不可能だと思われたマグネシム合金の加工を実現
弊社の代表は、かつて鉄製品のパイプなどを作る加工業を営み、タイや中国など現地生産も行っていました。その後、長年の経験を活用してマグネシウム合金の加工に挑戦し、他の金属では一般的な加工法であるもののマグネシウム合金においては不可能だと思われていた冷間引き抜き加工を実現しました。そこで、溶接など他の加工方法の開発を行うことで、マグネシウム合金の加工・製造を行う事業を立ち上げました。
社名のマクルウは原料のマグネシウムと加工技術の名称からとったもので(MACRW:Magnesium Alloy Cold Rolling Works)、「コクヨファニチャー ofon presents 社名の由来コンテスト」にて社名大賞を受賞しました。聞きなれない言葉ですが、我が社のルーツです。マグネシウムは高価な素材ですが、軽くて強度が高く、振動吸収性が高いという特徴があります。まずは、この特性を生かし、音の振動を効率良く伝導させる商品の開発に取り組みました。
高付加価値素材の製品で欧州を目指す
欧州では、自動車部品や音響製品などの分野でマグネシウムが使われており、現地の大手企業には高価な素材であっても受け入れられる素地があります。弊社は、ここに目を付け、マグネシムの特性を生かした電源のいらないスマートフォン用のスピーカーを開発しました。商品開発の際には、欧州をターゲットとしたためオブジェとしてのデザイン性にもこだわりました。
しかしながら、弊社は海外取引については輸入の経験しかなく、輸出についてはノウハウがありませんでした。そこで、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」の専門家による支援を利用しました。英国とフランスを中心にジェトロが支援する展示会や商談会に参加してきた結果、商談成約につなげることができました。2020年度は、「メゾン・エ・オブジェ」の展示会出展 (2021年1月から3月へ延期)に加え、MOMというデジタルプラットフォームに同製品を掲載しています。会期中のみならず、通年で商品を掲載できるため、より多くの欧州のユーザーに関心をもっていただけるよう期待しています。
コロナ禍でも、新たな分野でのユーザー獲得に挑戦
弊社は、スピーカーの次に杖を開発しました。マグネシウムは軽くて強度が高い素材のため杖の素材として適していますが、パイプを曲げる加工が難しく、これを可能にしたのが弊社の技術です。欧州では、国によっては杖が無償で配られる制度があり、このような制度への参画が課題となります。日本と同じく高齢化社会を迎えている欧州での展開を目指していきたいと考えています。
その他に、超軽量家具ステップスツールや、子供向け家具・オブジェなども開発しています。大型化すると物流コストも増すため、課題となります。また、最近ではドローンに使われる部品の受注も獲得しました。まだ注文のロット数は限定的ですが、少しずつ弊社の技術力が評価され、浸透しはじめているという手応えを感じています。得意とする技術をベースに世界の顧客が求める製品を作り、使っていただくことは大きなやりがいだと思います。皆さんも自社の製品・サービスの海外展開を目指してみてはいかがでしょうか。
専門家からのポイント
マクルウは、国内外の展示・商談会や「TAKUMI NEXT」などのジェトロの様々な支援メニューだけでなく、日欧産業協力センターのビジネスマッチングサービスの活用、現地の販売サポート会社との提携など、ありとあらゆる機会を捉え、海外展開に挑戦されました。その結果として、様々なルートで複数の商品の受注を獲得し、海外展開のプラットフォームができつつあるかと思います。このような積極的な姿勢が同社の最大の成功要因です。日本国内でも様々な新規ビジネスに挑戦されており、今後の海外展開も大変楽しみです。
ご利用いただいたジェトロのサービス
- 新輸出大国コンソーシアム
日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。
株式会社マクルウ
静岡県富士宮市
http://macrw.com/
代表者:安倍 雅史
設立年:2010年1月
従業員:7名
事業内容:マグネシウム合金等の加工・製造
2020年9月