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株式会社落合酒造場

セミナーで輸出を決心。専門家と二人三脚でジンジャー焼酎を海外へ

主力商品である芋焼酎の他に野菜（しょうが、かぼちゃ）など多様な素材を使った珍しい焼酎を製造。2017年より米国向け輸出の取り組みを開始。2018年4月、米国向けジンジャー焼酎「RIHEI GINGER」の販売代理契約を締結。米国での輸出拡大に取組中

宮崎県宮崎市ウェブサイト

展開国・地域：: 2018年米国
事業内容：: 酒類（単式蒸留焼酎）の製造及び卸販売／ジンジャー焼酎「RIHEI GINGER」の輸出販売

代表取締役・四代目杜氏落合亮平氏

セミナーに参加して海外進出を心に決めました

海外展開を考え始めたのは2016年春でした。宮崎県内の7蔵が集まり、県の補助金制度を活用してニューヨークで試飲会を開催しました。その翌年にジェトロ・ロサンゼルス事務所の西本所長のセミナーに参加しました。酒類の中でも手付かずの領域だった蒸留酒の枠を狙い、ハイクラスのバーをターゲットにする戦略は、私の認識とも同じだと共感し、輸出に向けて本格的に動こうと決心しました。利用したのは「新輸出大国コンソーシアム」専門家による支援です。30数年アルコールメーカーに勤務し、海外駐在の経験もある専門家から、商品のコンセプト作りや試飲会手配など販路開拓、輸入会社との契約やラベル表示交渉など、幅広い支援を受けました。2018年4月に輸入会社と契約を締結し、9月には50ケース（300本）の初回注文を受けました。当初はカリフォルニア州のみでしたが、ハワイ州、イリノイ州、マサチューセッツ州でも追加注文をいただきました。

「ジェトロ地域貢献プロジェクト」事業の一環で、2017年9月に米国より焼酎バイヤーを招聘。工場見学に招待した

事業戦略のベースとなったSWOT分析

最初のステップは商品企画からスタートしました。社員も参加したSWOT分析で自社と市場を徹底的に見つめ、専門家にも参加してもらい差別化ポイントを明確にして、事業戦略を固めていきました。創業以来大切にしてきた「伝統」と20銘柄以上を短期間で開発できる「技術力」、新しいジャンルに果敢に挑戦する「開拓力」。これが弊社の強みだと分かり、商品コンセプトを導き出すことができました。このSWOT分析がボトルデザインの指針にもなり、商品作りの起点になったのは間違いありません。それまでは自社を客観的に見つめ直す機会はなかったので、この時間はとても有意義だったとあらためて感じています。新しくすべきものと壊してはいけないもの、過去と未来を自分の中で整理することができ、米国でも勝負できる自信につながりました。自分たちだけでは絶対にできない作業です。専門家の知識とノウハウがあってこそだと実感しました。

落合酒造場の工場および事務所。宮崎県の南東部に位置する

米国市場向けにラベルなしのデザインになった「RIHEI GINGER」のボトル

苦労もあった契約交渉。支援に感謝しています

海外との取引は初めてだったので、言語の問題など不安もありましたが、専門家とは密に連絡を取り合い、力強くサポートしてもらいました。販路開拓や契約交渉の段階ではジェトロの国際取引法務の専門家にもチェックしてもらいながら、先方と良好な関係を保てるよう粘り強く交渉しました。海外では酒類といえば清酒のイメージです。焼酎はあまり知られていないため、時間をかけて商品の認知度を上げていく必要があります。2018年夏から半年で1,000本以上を輸出しましたが、これからが正念場です。当面は弊社の生姜焼酎「RIHEI GINGER」でさらなる販路開拓を目指し、将来的には新商品の展開も視野に入れています。デモンストレーションや商談の通訳手配や同行支援、時間的・金額的コストが大きい現地での情報収集などは今後も継続して発生するので、2年目、3年目と段階的に支援を受けられるサービスがあれば、ぜひ活用したいと思います。

専門家からのポイント

焼酎の米国輸出は、私にとっても大きなチャレンジでした。私が特に注意したのは、スケジュール管理と輸入業者との関係強化です。彼らを通じて成分分析・ラベル登録手続きを行いますが、その他に契約書締結、最終デザインの確認など相当な日数を要するため事前にスケジュール表を作成し、その遵守を心掛けました。結果的には計画よりもかなり発売が遅れましたが、この間のゴタゴタが却って彼らと支援企業の関係強化につながりました。また、彼らが支援企業のこの商品に対する熱い想いに共感してくれたことも関係強化の一因だと思います。