米ニューヨーク州、10%以上の商品・サービス値上げに正当性の説明求める規則案公表
(米国)
ニューヨーク発
2023年03月06日
米国ニューヨーク(NY)州は3月2日、企業が商品やサービスを10%以上引き上げる場合に、その妥当性の説明を求める規則案を発表した。規則案に関して60日間、パブリックコメントを募集している。
同州では、重要かつ必要な商品やサービスについて、異常気象やエネルギー供給の断絶といった非常事態宣言時に、市場の混乱期に乗じて企業が利益を上げることを禁じている。州議会は2020年に州法を改正し、当局に規則の制定権限を付与しており、今回はこれを踏まえた措置となっている。
規則案では、異常な市場混乱の前後で商品・サービスに10%以上の価格差がある場合、企業が当局に対して値上げの正当性を示すことを求めている。これは、需要と供給の状況に合わせて価格を変動させるダイナミックプライシングを適用する企業にも求める予定だ。当局はこの場合、市場混乱が起こる1週間前の同時刻における同じ商品・サービス価格の中央値を用いて、ベンチマークを設定する。また、同規則案では、30%以上の市場シェアを持つ企業が市場混乱時に利益率を高めることも禁止している。企業は規則に違反すると、最大2万5,000ドルの罰金を科す。
同州ではこれまでも、不当な価格操作に対応してきた経緯がある。2021年4月、新型コロナウイルス感染拡大中に卵の価格を操作したとして、全米最大級の卵生産会社ヒランデル・ファームから120万個の卵を回収した。2022年5月には消費者からの報告を受け、州内30以上の小売業者に対して、ベビー用粉ミルクの価格を過剰に引き上げないよう警告を発した。今回の規則案は、このような価格操作に対して、あらためて州の厳しい姿勢を示したかたちだ。なお、ニューヨーク市では2020年3月に、非常事態宣言後の10%以上の価格引き上げを違法とする規則を既に定めており、今回の規則案による影響は市外と比べれば小さいもようだ。
(宮野慶太)
(米国)
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