ロシア製ソーシャルネットワークサービスの利用者が増える
(ロシア)
欧州ロシアCIS課
2023年03月10日
ロシアによるウクライナ侵攻以降で顕著にみられるようになった、製品の国産化の波がソーシャルネットワークサービス(SNS)にも迫りつつある。ロシアでもともと人気のあったインスタグラムやフェイスブックの利用者が急減していることが明らかになった。地場調査会社メディアスコープのデータによれば、2023年2月のインスタグラムの1日当たり平均利用者数は、12歳以上の全人口比で6%となり、前年同月の31%から5分の1以下に減少した(「ベドモスチ」紙2023年3月4日)。フェイスブックも7%から2%に低下している。両サイトへのアクセスがロシア国内から原則禁止されている状況であっても、VPN(注)に接続することにより利用を続けるユーザーもいるが、利便性の問題などから徐々に嫌気されるようになっている。
そんな中、人気が高まっているのがロシア生まれのSNSだ。メディアスコープによると、7,000万超のユーザーを擁する国内最大手の「VK(フコンタクチェ)」は2023年2月の1日当たり平均利用者数の人口比の割合が前年同月と比べ15ポイント増の44%を記録している。メッセージアプリの中でデータ通信量が国内首位の「テレグラム」も、その数量が1.8倍に増えた。加えて、まだ存在感は薄いが、2022年12月に誕生したばかりの写真や動画の投稿サイト「ルーキー」も利用者を徐々に増やしている。インスタグラム上のコンテンツを自動的に取り込む機能や国内でアクセス制限を受けないことなどを前面に押し出し、インスタグラムからユーザーを取り込もうとしている姿がうかがえる。
ロシアではウクライナ侵攻以降、これまで輸入に頼ってきた製品を国産化しようとする「輸入代替」の動きが一層活発化している。過去には、2014年のクリミア侵攻時に欧米諸国から経済制裁を受けたことが契機となり、食肉など一部の分野で輸入代替に成功した実績がある。一般の消費者が好むと好まざるとにかかわらず、選択肢が限られる中、SNSの世界でも「メードインロシア」のサービスへの移行が進んでいる。
(注)インターネット上に仮想的に構築したプライベートネットワーク。
【欧州ロシアCIS課】
(ロシア)
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