カナダのスタートアップ・アセルタ、日産と共同開発の故障予測プラットフォーム完成を発表
(カナダ、日本)
トロント発
2023年03月10日
自動車向け機械学習プラットフォームのプロバイダーであるカナダのスタートアップ、アセルタ・アナリティクス(本社:オンタリオ州キッチナー)は3月8日、日産自動車と共同開発した機械学習による故障予測モデルの専門プラットフォームの完成を発表した。同プラットフォームでは、車両データの異常を検出して部品故障の可能性を予測し、警告が必要となるまでに車両が走行可能な残りの距離を推定する。
両社は2022年6月、同事業に関する提携を発表。事業規模は136万カナダ・ドル(約1億3,328万円、Cドル、1Cドル=約98円)で、オンタリオ州政府傘下のオンタリオ・ビークル・イノベーション・ネットワーク(OVIN)から34万4,000Cドルの出資を受けて事業を進めていた。OVINでは、オンタリオ州産の先進的自動車技術やスマートモビリティーソリューションの商業化促進を支援している。
アセルタによると、日産はエンジン故障を予測するために、機械学習や人工知能(AI)を用いた研究開発への着手を決め、同プラットフォーム開発では内燃機関搭載車に不可欠な部品である燃料噴射装置の故障に焦点を当てた。AIがなければ、故障を事前に発見することは極めて困難という。
同社のグレタ・クトゥレンコ最高経営責任者(CEO)は「日産は、予期せぬ故障による修理を減らし、最終的に顧客のコスト削減に貢献するような予測分析ソリューションを求めていた」とコメントした。
また、日産自動車総合研究所常務執行役員兼アライアンスグローバルVPの土井三浩氏は「当社は、オンタリオ州で発展する自動車業界のエコシステムにはAIと製造技術の専門知識が組み合わされた強みがあることを認識している。顧客の実益となるよう、アセルタと協力してこの新技術開発を加速させるとともに、今回のパートナーシップを継続してきたことを喜んでいる」と述べた。
OVIN代表のレード・カドリ氏も「われわれは、アセルタのような革新的な企業と日産のようなグローバルリーダーとの提携を支援し、オンタリオ州でより安全でクリーン、もっと利用しやすい交通手段を実現可能にしていく」とコメントした。
アセルタは2021年5月にも、豊田通商グループのネクスティと車両部品の劣化や故障を診断・予測するシステムに関する業務提携を発表(2021年6月2日記事参照)している。
(飯田洋子)
(カナダ、日本)
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