韓国政府、CHIPSプラス法について米国と引き続き協議
(韓国、米国)
ソウル発
2023年03月03日
米国商務省は2月28日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)のインセンティブ・プログラムのうち、半導体製造施設に対する財政インセンティブの詳細な支援計画を公告した(注1)。韓国産業通商資源部は3月1日、韓国半導体業界の立場について、「CHIPSプラス法のインセンティブ・プログラムに関し、米政府との交渉を進めながら最善の策を検討していく」との立場を発表した。
CHIPSプラス法では、インセンティブを享受した企業に対して条件が課される。このうち「ガードレール条項(注2)」について、同部は「米政府が詳細を規定する過程で、韓国企業の立場が十分に反映されるよう、今後も米関係当局と協議していく」と強調した(2022年8月26日、2022年9月26日記事参照)。また、インセンティブを享受した企業が「一定基準以上の超過利益を償還する条件」について、「東亜日報」(3月2日)は、「サムスン電子、SKハイニックスといった韓国半導体企業は困惑している。補助金申請に伴う追加的条件が新たに示されたことで、負担がどの程度大きくなるか、条件を満たせる可能性がどの程度あるかなどを検討している」と報じている。同紙は続けて、「メリットよりデメリットの方が多いとの評価すら出ているが、米国内の半導体サプライチェーンからの離脱は難しく、悩みは深い」と業界の苦悩を伝えている。
(注1)申請により、半導体製造投資に対し、米国で最先端、現世代、成熟ノード(mature node)半導体などの前工程または後工程の製造施設の建設、拡張、近代化の投資をする企業に対し、補助金、融資または債務保証の支援が享受できる(2023年3月1日記事参照)。なお、素材、装置およびR&D関連施設への財政インセンティブは後日公告予定。
(注2)CHIPSプラス法では、インセンティブを享受した企業は、10年間、懸念国での半導体製造能力の拡張と関連する取引の制限を受けることとなる。詳細は米国政府が後日公告する予定。
(当間正明)
(韓国、米国)
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