科学技術フレームワークを発表、技術大国を目指し政府が投資
(英国)
ロンドン発
2023年03月10日
英国政府は3月6日、2030年までに英国を世界の科学技術大国として確固たる地位を築くための政府計画を発表した(英国政府プレスリリース)。量子コンピュータ、スーパーコンピューティングからAI(人工知能)に至るまで、成長テクノロジーのためのインフラ、投資、スキルを後押しする3億7,000万ポンド(約599億4,000万円、1ポンド=約162円)超の政府資金を新たに提供する。今回の計画により、政府は産業革新と世界をリードする科学研究のための適切な条件を整え、次世代の高賃金の雇用を提供し、最先端産業で経済を成長させ、ヘルスケアからセキュリティーまで、人々の生活をより良いものにすることができるとしている。
本計画は、科学技術フレームワークとして、主に10項目で構成される(添付資料表参照)。フレームワーク推進に向け、資金が投入される主なプロジェクトは以下のとおり。
- 気候変動やヘルスケアといった国際課題に取り組む産業の支援に向けて、AI、量子技術および工学生物学の領域における英国の主導的立場を基盤とした転換技術に対して、2億5,000万ポンドを投資。
- 民間企業や慈善団体による共同投資と新たな発明を促すため、最大5,000万ポンドを支援。
- 世界中から、英国で研究を行うAI分野の次世代のリーダーを発掘・誘致するために800万ポンドを支援。
- 研究機関や大学の施設改善を支援するための「ワールドクラス・ラボラトリーズ・ファンド」に5,000万ポンドを追加出資。
- 英国の科学技術分野のスタートアップを支援するため、「英国イノベーション・科学技術シードファンド」に1,000万ポンドを追加出資。
- 米国のサイクオンタムによるイングランド北西部デアズベリーでの量子コンピュータ研究センター設立を支援するため900万ポンドを拠出。
今回の計画は、省再編(2023年2月9日記事参照)により新たに設立された科学・イノベーション・技術省が主導する政府横断的取り組みで、次世代の5つの技術(量子、AI、工学生物学、半導体、次世代通信)および生命科学、グリーンテクノロジーを含む英国の世界水準の研究・革新システムの責任を、初めて単一の部門に集約するものとしている。
(菅野真)
(英国)
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