運輸省、陸海貨物の積み替え手続き簡易化へ
(シンガポール)
シンガポール発
2023年03月10日
シンガポールのチー・ホンタット上級国務相(財務・運輸担当)は3月3日、国会での予算審議で、陸路国境と港での国際貨物の積み替え手続きの簡易化に向け、規制の緩和を検討していると述べた。規制緩和により、マレーシアとシンガポール間の陸上・海上輸送の積み替え時間が短縮し、コスト負担も軽減する見通しだ。
チー上級国務相によると、運輸省は現在、マレーシアから2つの連絡橋を通じて商品を輸入し、再輸出する事業者に対し、「積み替え許可書」の発行を検討している。同国では現状、航空と海上貨物の積み替えの場合には、積み替え許可書を発行している。しかし、マレーシアから陸路で貨物を輸入し、再輸出をする場合、事業者は現在、輸入と輸出の許可をそれぞれ取得する必要があるため、事務費などのコスト負担増となっている。陸上輸送の貨物の積み替えについても、1つの積み替え許可書に統合することで、貨物1件当たり最大40シンガポール・ドル(約4,040円、Sドル、1Sドル=約101円)のコスト削減ができるとしている。同上級国務相は「業界全体のコスト削減総額は、年間200万Sドルとなる」と指摘した。
また、チー上級国務相は、陸路と海路を組み合わせた複合一貫輸送の効率化のため、マレーシアからの貨物トラックに関する規制の緩和を進めていることを明らかにした。マレーシアからの貨物トラックは現在、シンガポール登録車の必要があるほか、運転手がシンガポール国民か、シンガポールの就労許可保持者でない限り、シンガポールのコンテナターミナルに入港できない。このため、ターミナルに入る前に、シンガポール国民か、就労許可を持つ外国人運転手が運転するシンガポール登録のトラックに積み替える必要があり、輸送時間とコストが増加する一因となっている。さらに、シンガポールでは、トラック運転手の人手不足も問題になっている。こうした問題解決のため、港の管理・運営会社PSAは現在、地場の物流会社が手配する外国人が運転する外国登録のトラックが直接、積み替えなしで、ターミナルに立ち入ることを段階的に認める方向で、業界関係者と調整を進めている。同上級国務相によると、地場コンテナ会社アライド・コンテナ・サービシズがこの規制緩和の適用第1号として、マレーシアからのシンガポール港への積み替えなしの直接輸送を始めている。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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