カナダ、2022年第4四半期のGDPはゼロ成長
(カナダ)
トロント発
2023年03月02日
カナダ統計局が2月28日に発表した2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は、前5四半期連続の拡大を経て、前期比年率0.0%のゼロ成長となった。個人消費支出や政府支出が増加し、貿易収支が改善したものの、企業の在庫投資が鈍化し、設備投資や住宅投資が振るわなかったことから、成長が相殺された。
成長した個人消費支出では、第4四半期は2.0%増と、第3四半期の0.4%減から増加に転じた。耐久財の支出が好調で、中でも新車や中古車購入が伸びを支えた。また、政府消費支出も2.4%増を記録した。
貿易は、輸出で小麦、カノーラ、旅行サービスが増加した一方、輸入で医薬品、コンピュータ・同周辺機器、電子・電気部品の輸入が減少したことから、貿易収支で第3四半期(7~9月)のマイナス612億カナダ・ドル(約6兆1,200億円、Cドル、1Cドル=約100円)から第4四半期はマイナス371億Cドルへと改善した。
一方、企業の在庫投資は、過去最高水準だった前2四半期に比べて、第4四半期は223億Cドルへと縮小し、GDP成長率を押し下げる要因となった。
また、設備投資のうち、企業の機械や機器への投資は2四半期連続して減少し、第4四半期は27.6%減だった。コンピュータ・同周辺機器、産業用機械・装置、航空機・その他の輸送機器への支出の減少が起因した。
加えて、住宅投資も金利上昇に伴って8.8%減となり、3四半期連続の減少となった。
なお、統計局は同日、2023年1月単月のGDP推計値を前月比0.3%増と発表した。推計値は速報値のため、3月31日発表の1月分データに基づいて更新される。
統計局の発表を受け、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト兼マネジングディレクターのダグラス・ポーター氏は「(今後の)成長は、過剰需要を抑制しインフレ圧力を軽減するために潜在成長率(約2%)未満に抑える必要がある」として、「本日の結果は、カナダ中央銀行が来週の(政策金利)決定会合での(金利)据え置きを再確認するもので、当行が予想するように、成長率が潜在成長率を下回るようであれば、中銀は状況を傍観することになるだろう。中銀にとって重要なのは、1月のGDPがトレンドの始まりなのか、それとも天候による一度限りのまぐれなのかということだ」とコメントした(BMOエコノファクツ2月28日)。
次回の中銀の政策金利発表は3月8日に予定されている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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