EUとのFTA交渉、タイの閣議が承認
(タイ、EU)
バンコク発
2023年02月22日
タイ内閣は2月14日、EUとの自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉の開始と、タイ商務省が提案した交渉枠組みについて閣議承認した。
政府傘下の公共政策研究機関である、開発のための未来研究所(IFD)の研究結果によると、EUとのFTAが発効した場合、タイのGDPを年間1.28%拡大、国内全体で28億ドル相当の経済を拡大させる効果が見込めるという。また、EUへの輸出は2.83%、EUからの輸入は2.81%増加し、タイの所得分配を改善する効果も期待できる。
IFDはタイEU・FTAのメリットについて、(1)EUでのタイ製品の競争力強化と市場シェアの維持、(2)タイの製造業・サービス業の再編と最適化、それに伴って外国企業にとってタイのASEAN生産ハブとしての魅力向上、(3)雇用率の向上、(4)政府調達や知的財産、競争、持続可能な貿易・開発など、複数分野の基準・規則の高度化などを挙げている。リスクとしては、(1)製造業の構造変化と、競争力のない企業の淘汰(とうた)(他産業への適応の必要性)、(2)製造業の再編に伴う既存の雇用喪失、(3)より高いレベルの基準・規則への適応準備(適切な準備期間や救済措置などの必要性)を挙げている。
IFDの研究によると、タイからEUへ輸出拡大が期待できる製品は、自動車・同部品、電子部品、衣料品・繊維製品、食品、化学品、ゴム製品、プラスチック製品。EUからの輸入拡大が期待できる製品は、機械・同部品、化学品、輸送機器、乳製品などだ。タイからEUへのサービス輸出増や投資拡大が見込める分野は、観光業、卸売・小売業、食品製造業、EUからタイへは、金融・保険業、通信業、環境サービス、専門職サービス、運送・配達、海上輸送などだという。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、EU)
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