2023年第1回となるASEAN高級実務者会合(SEOM)開催
(ASEAN、インドネシア、タイ、日本)
バンコク発
2023年02月02日
タイ商務省貿易交渉局(DTN)は1月24日、インドネシアのスマランで同月16~17日に開催されたASEAN高級実務者会合(SEOM)の結果を公表した。同会合は第54回ASEAN経済相会合(AEM)および関連会合に向けた2023年第1回の会合となる。2023年の議長国インドネシアは同年のテーマを「ASEAN Matters:Epicentrum of Growth(ASEANは重要:成長の中心)」と発表し、ASEANを早く、包括的に、サステナブルなかたちで成長させることを目指すとしている。
DTNによると、サービス貿易円滑化、RCEP(地域的な包括的経済連携)事務局、eフォームD〔ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の電子原産地証明書〕、自由貿易協定(FTA)の改定交渉、日本との経済協力などが議論されたという。詳細は以下のとおり。
- サービス分野の自由化を推進するための規則、規制を策定する「ASEANサービス円滑化枠組み」の構築
- RCEP協定に基づく活動を差配する「RCEP事務局」の設置
- ASEANシングルウインドウ(ASW)を経由したe-From D交換の完全実施、それを通じた貿易円滑化の強化、ビジネスコストの削減、越境ペーパーレス貿易の促進、e-Form Dの利用率の向上(現在のe-Form Dの利用率は89.6%)。
- ASEAN経済統合に資する2023年の重要施策の実施(例:サプライチェーン連結性、中小零細企業の競争力強化、デジタルトランスフォーメーション、持続可能な開発、ASEAN域外国との関係拡大など)。
- FTAの締結・改定交渉を加速させる。ASEANカナダFTAを2024年中に構築し、ATIGA、ASEAN中国FTA(ACFTA)、ASEANインドFTA(AIFTA)のアップグレード交渉を2025年までに妥結させる。また、ASEANオーストラリア・ニュージーランドFTA(AANZFTA)の改正議定書は2023年中に署名する予定となっている。改正AANZFTAは、貿易円滑化のためのルールが改善しており、特恵関税利用のハードルが最小化され、最新の貿易の潮流に沿ったものとなっている。例えば、自己証明制度の利用が可能となっており、タイにとって自己証明制度の利用が可能な3番目のFTA(ATIGA、RCEP協定に続く)となる。
- 東ティモールのASEAN加盟に向けたさらなるステップと、同国のキャパシティービルディングに向けた支援の提供。
なお、今回は日本政府とも特別会議が実施された。日本ASEAN友好協力50周年に際して、双方向で策定する経済ビジョン、イノベーションとサステナビリティーの実現に向けた行動計画などについて議論が実施された。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(ASEAN、インドネシア、タイ、日本)
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