欧州の2022年の旅客数が前年から倍増、貨物輸送量はやや減も好調維持

(EU、EFTA、英国)

ブリュッセル発

2023年02月08日

国際空港評議会(ACI)の欧州地域総会は2月7日、2022年の欧州地域(注)の空港利用者(旅客)数は約19億4,000万人と、前年のほぼ倍になったと発表した(プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。ACIは、欧州各国で2022年春に新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)に関連する渡航規制の多くが解除されたのに伴い、旅客数が回復軌道に乗り始め、地政学的な変化や航空運賃の高騰にもかかわらず、夏の休暇シーズン以降も旅客数は大きく変動しなかったと分析。「2022年は、われわれが新型コロナといかに共生し、旅行をするかをついに習得した年になった」とした。

しかし、新型コロナ感染拡大前(2019年)と比較すると、旅客数は依然として21%下回っており、ACIによると、欧州内にある空港で、旅客数が2019年の水準に回復したのは全体の27%にすぎず、その90%は小規模な地方空港だった。また、国によっても状況は大きく異なり、休暇先として人気が高い国や、格安航空会社(LCC)が多く就航している国、新型コロナ関連の渡航規制がより厳しく、前年までの旅客数の落ち込みが大きかった国などで、旅客数が特に回復したとした。

2023年については、ウクライナ情勢など不確実性は高いものの、中国が新型コロナ関連の渡航規制を解除したことや、インフレ率の上昇がやや落ち着きをみせてきていることなどから、2019年の水準に回復する空港はさらに増えると前向きな予測を示した。一方で、多くの航空会社が新型コロナ危機に伴い人員削減を行ったことや、航空運賃の値上げによって収益を回復させることに重点を置いていること、一部の市場では航空機の納入の遅れや労働力不足が続くなど、航空会社や空港といった供給側を圧迫する要素も依然としてあると指摘した。

また、欧州の空港における2022年の貨物輸送量は、ウクライナ情勢と、国際貿易やサプライチェーンの混乱を直接的に受けて前年比5%減となったが、2019年比では2%増で、旅客数とは対照的に引き続き好調だった。

(注)EU加盟国と、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、英国、スイス、アルバニア、アルメニア、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、イスラエル、カザフスタン、コソボ、北マケドニア、モルドバ、モンテネグロ、ロシア、セルビア、トルコ、ウクライナ、ウズベキスタンの計48カ国。

(滝澤祥子)

(EU、EFTA、英国)

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