EU、対ロシア制裁第10弾を採択、ロシアのウクライナ侵攻から1年を機に

(EU、ロシア、イラン)

ブリュッセル発

2023年02月28日

EU理事会(閣僚理事会)は2月25日、ロシアによるウクライナ侵攻から1年という節目を迎えたことを契機に、第10弾となる対ロシア制裁パッケージを採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回の制裁パッケージでは、ロシアへの輸出禁止・制限の対象を拡大。既に対象になっている品目(325億ユーロ相当)に加えて、114億ユーロ相当の品目が新たに輸出禁止・制限の対象となった。今回の拡大により、2021年のロシアへの輸出額の約5割が制裁対象となった。

今回の輸出禁止・制限措置の対象となったのは、ロシアの軍事能力や技術の強化につながる可能性のある電子機器、特定用途の車両、機械部品、トラックやジェットエンジンの交換部品、建設機材、特定のレアアース(希土類)など。また、96団体に対して輸出制限を新たに課した。これには、ロシア軍向けにドローンを製造、提供するイランの7団体も含まれる。さらに、制裁措置の迂回を防ぐために、二重用途物品のロシア経由での第三国への輸出も禁止された。このほか、ロシアの歳入を減らす目的で、アスファルトや合成ゴムのロシアからの輸入も禁止された。

そのほかの制裁措置には、重要インフラ運営会社の経営層からのロシア国籍者の排除や、ロシア国籍者・団体によるEU域内のガス貯蔵施設の利用禁止(液化天然ガス関連施設は除く)なども含まれた。

EU域内の資産凍結の対象に、ロシアの民間大手銀行などを新たに追加

EU理事会は、EU域内の資産凍結、資産提供の禁止、域内への入域禁止の対象となる個人・団体についても、ロシアの政府、軍関係者などを中心に87人と34団体を新たに指定。これには、ドローン供給に関連するイラン国籍者4人も含まれる。このほか、資産凍結の対象に、ロシアの民間大手であるアルファ銀行やロスバンク、オンライン銀行大手のティンコフ銀行、ロシア政府系である国民福祉基金(National Wealth Fund)や国家再保険会社(RNRC)を追加した。これにより制裁対象者は、合計で1,473人と205団体となった。

さらに、EU理事会は、資産凍結の効果を上げる目的で、制裁対象となっている個人・団体の凍結中の資産に関する、EU域内事業者の報告義務を強化。既に取引が禁止されているロシア中央銀行の資産や外貨準備に関しても、新たな報告義務を追加した。

(吉沼啓介)

(EU、ロシア、イラン)

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