中国、ウクライナ危機に対するポジションペーパーを発表、和平交渉プラットフォーム設立を提案

(中国、ウクライナ)

北京発

2023年02月28日

中国の外交部は2月24日、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題する文章を公開した。ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめたもの。

同文書は、(1)各国の主権尊重、(2)冷戦思考の排除、(3)停戦、戦闘の終了、(4)和平対話の始動、(5)人道危機の解決、(6)民間人と捕虜の保護、(7)原子力発電所の安全確保、(8)戦略的リスクの減少、(9)食糧の国外輸送の保障、(10)一方的制裁の停止、(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保、(12)戦後復興の推進、という項目からなる(添付資料表参照)。従来からの主張に加えて、中国は和平交渉プラットフォームの設立やロシア・ウクライナ間の捕虜交換、戦後復興の推進支援に役割を発揮するとしている。

外交部は同日の記者会見で、「中国はウクライナ問題について、終始、客観的で公正な立場を取り、積極的に和平を促し対話を促進し、危機の解決のために建設的な役割を果たしてきた」との認識を示し、同文書に基づいて、引き続き国際社会とともにウクライナ危機の政治的解決のために貢献するとした。一方で、和平交渉プラットフォーム設立などに向けた具体的な方策については言及しなかった。

2月24日の中国中央テレビは「中国はウクライナ危機の当事者ではないが、手をこまねいて見ているわけではない」として、文書はウクライナ危機の政治的解決のために、詳細で確実な、実行可能な解決策を提供したものと報じた。

2月25日付の人民日報は「ウクライナ危機の政治的解決のために中国の知恵と中国の解決策を提供し、動揺する世界にさらなる安定と確実性をもたらすために、大国の責任を体現したもの」と評価した。

中国国際問題研究院ユーラシア研究所の李自国所長は、2月21日に発表された「グローバル安全保障イニシアチブコンセプトペーパー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と合わせて、中国は平和の側、対話の側、歴史的に正しい側に立ち、国際社会とともにグローバルな安全を守るという立場を表明したものだとした(「新華網」2月24日)。

中国国際問題研究院欧州研究所の崔洪健所長は、文書について「西側諸国の言ういわゆる和平案ではなく、中国のウクライナ危機に対する見方や、国際社会が受けている影響に対する認識に基づいた基本的な判断」とした(「澎湃新聞」2月24日)。

(河野円洋)

(中国、ウクライナ)

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