EUの新輸入管理システムICS2の対象、3月1日から拡大
(EU)
ブリュッセル発
2023年02月20日
EU域内に輸入される貨物について、到着前に貨物のセキュリティーと安全性に関する情報提供を求める「輸入管理システム(ICS)2」の対象貨物と報告要件が3月1日から拡大される。EUで域外からの輸入の際には、域内最初の仕向け地でデータシステムICSを通じて事前に「搬入略式申告(ENS)」を行う。ICS2は、違法な製品の流入を取り締まり、税関のセキュリティー対応を強化する目的で、従来のICSから置き換わるかたちで2021年3月15日から段階的に導入が開始されている。
今回、3月1日からICS2導入の第2段階に入る。2021年開始の第1段階では、対象は航空速達と航空郵便のみで、ENSの報告要件も積載前のセキュリティーリスク評価のための「事前貨物情報(PLACI)」の提供に限られていた。第2段階からは一般航空貨物も対象となり、かつ報告要件もPLACIだけでなく、到着前のセキュリティーと安全性のリスク評価のためのデータ提供を含む完全なENSが求められる。航空貨物全般が対象となるため、貨物輸送や物流に関わる幅広い事業者がICS2の影響を受けることになる。報告要件となるデータは、運送業者や宅配便業者などが航空会社に提供、またはこれら事業者自身がICS2データシステムに直接申告することも可能。加盟国の税関当局はICS2を通じて、事業者に対し追加情報の提供要請や、危険性の高い貨物に対しては検査の実施依頼、セキュリティーに対する脅威が確認された場合は積載不許可の通知まで、各種措置を取るよう求めることができる。
第2段階では、EU加盟国による当局の実施能力の差を考慮して、10月2日までを移行期間と設定しており、移行期間中は加盟国当局の判断により完全な実施の猶予を認めている。ICS2は今後、海運、道路輸送、鉄道輸送も含めた第3段階の導入開始を2024年3月1日に予定している。第3段階の開始から200日の移行期間の後に従来のICSは停止することになる。
詳しくは欧州委員会税制・関税同盟総局のウェブサイトのICS2特設ページやジェトロウェブサイトの「EU関税制度関連法(417KB)」を参照。欧州委のウェブサイトでは一部、日本語での情報もダウンロードすることができる。
(安田啓)
(EU)
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