カナダ、オミクロン株派生型「XBB.1.5」は感染拡大傾向、公衆衛生局が声明
(カナダ)
トロント発
2023年01月24日
カナダ公衆衛生局長のテレサ・タム博士は1月20日、国内の新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)をはじめとした呼吸器系ウイルスの流行の最新状況に関する声明を発表した。新型コロナについては、従来の変異株より感染力が高く、米国などで感染が急速に拡大しているオミクロン株派生型「XBB.1.5」の感染が拡大傾向にあることを明らかにした。
タム博士は、2022年12月25日から2023年1月2日の1週間に新型コロナに新たに感染した人のうち、推計で2.5%が「XBB.1.5」に感染し、1月中旬までに約7%へ上昇することが予測されていたと述べた。ただし、カナダ国内で「XBB.1.5」の感染拡大が予想されるものの、それが支配的な系統になるかどうかは不明なこと、現時点では症例の絶対数が急増しているわけではなく、同変異体や他の新しい変異体によって重症度が上昇したという証拠がないことも説明した。
また、同博士は最新のデータを基に、新型コロナウイルス感染状況は地域によって開きがある一方、インフルエンザとRSVの水準は例年並みに落ち着いてきていることも明らかにした。ただし、「医療機関の患者数増加による逼迫はまだ回復途上にあり、重症化予防のためできる限りのことをすることが依然として重要だ」と述べた。
カナダの国家予防接種諮問委員会(NACI、注)は同日、各州や準州に対する新型コロナワクチン接種ガイドラインを更新した。18歳以上、および12~17歳で新型コロナによる重症化のリスクが高い人に対しては、少なくとも1回の追加接種が提供されるべきとしている。また、65歳以上、および5~64歳で新型コロナウイルス感染による重症化のリスクが高い場合は、追加接種を2022年秋の開始以降に受けている必要があり、未完了の場合には、推奨間隔に従って追加接種が提供されるべきとしている。
タム博士は、NACIのガイドラインはワクチンの追加接種は重症化や死亡リスクを減らす有効な手段であることを再認識しており、2022年秋に追加ワクチン接種を推奨対象でありながら未接種の場合には、「今こそ2価追加接種を受ける時だ」と呼びかけた。
タム博士は新型コロナ感染の見通しを冬の天候に例え、「冬の天候のように、次に何が起こるかを正確に予測することは困難だが、冬のコートやブーツを片付けるには時期尚早なことは分かっている。同様に、新型コロナの嵐を乗り切るのに役立った個人防護策をやめるのもまだ早い」と指摘した。
カナダ公衆衛生局の1月13日発表データによると、1月1日時点のカナダでのワクチン1回接種率は83.3%、2回接種率は80.6%に達しているが、過去6カ月以内に2回接種を完了もしくは追加接種を行った人の割合は25.0%にとどまっている。
(注)NACIは、小児科や感染症、社会科学、公衆衛生などの分野の専門家で構成され、連邦政府が新しく承認したワクチンの使用に関する指針を提供している。
(飯田洋子)
(カナダ)
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