駐在員が住みやすい都市でNYは50都市中16位、物価高や治安の悪さが響く
(米国)
ニューヨーク発
2022年12月02日
ドイツの調査会社インターネーションズが実施した、駐在員が住みやすい都市をランク付けする「エクスパット・シティー・ランキング2022」によると、ニューヨーク(NY)は50都市中16位にランクインした。
同調査は毎年実施されており、2022年は181の国・地域在住の駐在員1万1,970人を対象に、50人以上から回答を得た50都市について、生活の質、住みやすさ、海外勤務充実度、経済的満足度、駐在員の必需品の充実度(口座開設、インターネットアクセスなど)の5つの分野で都市を順位付けし、これらを統合して総合順位を決めている。
NYは海外勤務の充実度で3位にランクインし、84%の回答者が自身のNYで得られるキャリアの機会に満足していると回答している(世界平均は58%)。住みやすさや駐在員の必需品の充実度でも、それぞれ15位と16位と、比較的上位にランクインしている。一方で、生活の質と経済的満足度ではそれぞれ36位と42位で、下位にとどまった。生活の質については、回答者の26%が必要とする医療サービスを受けることが困難と回答していることに加え(世界平均は17%)、15%が自身の身の安全に不安を感じていると回答しており(世界平均は9%)、「健康・幸福度」に関する指数で全体48位にとどまったことが影響した。経済的満足度では、回答者の58%が生活費の高さに不満を持っている(世界平均は35%)など、物価の高さがネックとなった。
総合ランキング1位はスペインのバレンシアで、生活の質で1位、住みやすさで3位などが高評価されている。最下位は南アフリカ共和国のヨハネスブルクで、治安面や経済状況が低評価だった。なお、日本で唯一ランキングに含まれている東京は42位だった。
NY市の治安は悪化傾向にあり、特に地下鉄での犯罪が増加している。2022年1月から10月までの地下鉄における強盗などの犯罪数は1,917件で、前年同期比で約40%増加した(「ニューヨーク・ポスト」紙11月27日)。こうした現状に鑑み、エリック・アダムズ市長は11月29日、地下鉄などで暮らす、重度の精神疾患を持つホームレス向けの計画を発表した。計画では、精神疾患により最低限必要な生活水準を満たすことができない場合、その人がケアを必要とすることを法律で明示するといった内容を、次の州議会での立法の最優先事項としている。NY市ではホームレスが約5万人いるとされ、治安悪化の一因と指摘されている。治安を改善し、NY市を駐在員にとってさらに魅力のある街にできるか、今後のエリック・アダムズ市長の手腕に注目が集まる。
(宮野慶太)
(米国)
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