米国進出企業、高インフレによるコスト高などが景況感を下押し、ジェトロ海外進出日系企業実態調査(北米編)
(米国、日本)
米州課
2022年12月20日
ジェトロは12月20日、米国に進出する日系企業を対象とした現地での活動実態に関するアンケート調査(注1)「海外進出日系企業実態調査(北米編)」の調査結果を公表した。調査結果からは、在米日系企業が新型コロナ禍からの米国経済回復における需要増を捉えつつも、急激かつ長期的なインフレによる原材料・部品調達コスト上昇や人件費上昇の圧力を受けている実態が明らかとなった。
黒字割合は新型コロナ禍前に近づくも、先行き不透明
2022年に営業利益の黒字を見込む在米日系企業の割合は64.3%となり、前年(59.2%)から5.1ポイント上昇した。一方で、新型コロナウイルス感染拡大前(2019年)の水準(66.1%)には及ばなかった。黒字割合は、非製造業で71.5%だったが、製造業では58.6%にとどまった。業種別にみると、非製造業では、サプライチェーンの混乱による運賃高騰により運輸業が95.7%と好調だったが、旅行需要の回復が遅れている旅行・娯楽業は37.5%と低調だった。製造業では、一般機械(81.7%)や電気・電子機器(75.9%)などが好調だったが、半導体不足による自動車生産台数減少などの影響を受けた自動車等部品は17.1%にとどまった。
一方で、営業利益見込みが前年比で「改善」を見込む企業の割合は前年比9.7ポイント減の41.9%だったのに対し、「悪化」は7.5ポイント増の24.4%となった(添付資料図1参照)。景況感を示すDI値(注2)は17.5となり、前年(34.7)から大幅に低下した(添付資料図2参照)。営業利益見込みが改善する主因としては「新型コロナに起因する反動増」(20.1%)が、悪化する主因では「原材料・部品調達コストの上昇」(25.3%)が筆頭要因に挙がり、米国で高止まりするインフレが在米日系企業の景況感を下押しした。
(注1)調査実施期間は2022年9月8~30日(日本時間)。調査対象は在米日系企業(製造業・非製造業)のうち、直接出資および間接出資を含めて、日本の親会社の出資比率が10%以上の企業および日本企業の支店。有効回答数は787社/1,841社(有効回答率42.4%)。調査は原則年1回実施しており、米国では1981年以降これが41回目。
(注2)Diffusion Indexの略で、営業利益が「改善」する企業の割合(%)から「悪化」する割合を差し引いた数値。
(葛西泰介)
(米国、日本)
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