10月の米小売売上高、前月比1.3%増で7カ月ぶりの増加幅
(米国)
ニューヨーク発
2022年11月17日
米国商務省の速報(11月16日付)によると、10月の小売売上高(季節調整値)は前月比1.3%増の6,945億ドルで3月(1.2%増)以来7カ月ぶりの増加幅となり(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の1.0%増を上回った。なお、9月の売上高は、前月比0.0%減(速報値)から0.0%増(改定値)にわずかに上方修正された(2022年10月17日記事参照)。
ガソリンスタンド、自動車・同部品、フードサービスなどが押し上げ要因に
業種別にみると、ガソリンスタンドが前月比4.1%増の641億ドル、寄与度0.37ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、自動車・同部品が1.3%増の1,295億ドル(寄与度:0.25ポイント)、フードサービスが1.6%増の895億ドル(0.21ポイント)で増加に寄与した。一方、総合小売りは0.2%減の700億ドル(マイナス0.02ポイント)と減少した。
今回の発表を受け、全米小売業協会(NRF)のチーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は「高インフレや借入コストの上昇、マクロ経済の不確実性の広がりにもかかわらず、消費者は引き続き回復力を示している」と述べており、雇用の増加、賃金の上昇と貯蓄の利用により、消費者が今後も消費し続ける傾向が持続する見通しを示した。10月には、アマゾンが実施した有料会員「プライムメンバー」を対象とした大規模なセール「プライム・アーリーアクセスセール」をはじめ、ウォルマートや、オンライン上で家具を販売する「ウェイフェア」など、各社のセールイベントが相次いで実施されており、同氏は各社が年末商戦を前倒しして開始したことが、売り上げ増に寄与したと述べている(2022年11月10日記事参照)。
一方で、民間調査会社コンファレンスボードが10月25日に発表した10月の消費者信頼感指数は102.5と、9月(107.8)より5.3ポイント減少し、3カ月ぶりの低下となった。内訳をみると、現況指数は138.9と9月(150.2)より11.3ポイント減と大幅に減少し、2021年4月(131.9)以来の低水準に落ち込んだ。また、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は78.1と9月(79.5)より1.4ポイント減少した。期待指数が80を下回ると景気後退のリスクが高まっていることを示すとされており、引き続き先行きに対する消費者の懸念は高い状況が続いている。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターであるリン・フランコ氏は、消費者信頼感が低下した背景について「7月以降後退していたインフレに対する懸念が再び高まり、ガソリンと食品価格(の上昇)が主因となった」と述べた。先行きについては「インフレ圧力は引き続き消費者信頼感と消費に強い逆風となり、小売業者にとって厳しいホリデーシーズンとなる可能性がある」と指摘した上で、小売り各社はすでに過剰在庫を抱えているため、消費需要が不足すれば、各社での値引きにつながり、今後の利益を圧迫する可能性があるとの懸念を示した。
(樫葉さくら)
(米国)
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