ファイザー・ビオンテック、新型コロナとインフルエンザの混合予防ワクチン臨床試験を開始

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月07日

米国製薬大手ファイザーとドイツのバイオ医薬ベンチャーのビオンテックは11月3日、1種類のワクチンで、新型コロナウイルスとインフルエンザ両方からの重症呼吸器疾病を予防することを目的としたmRNA型ワクチンの開発が、臨床試験の第1段階に入ったことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、ファイザーとビオンテックによる感染症分野での共同企画は、2018年に開始したインフルエンザ予防ワクチン、2020年に開始した新型コロナウイルスのワクチン、2022年に開始した帯状疱疹(ほうしん)ワクチンに続き、今回で4回目。開発にかかる費用は両社で分担するとしている。

また、両社は11月4日、オミクロン株に対抗する追加接種用2価ワクチンの最新の臨床データを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同データによると、55歳以上の場合、2価ワクチンの追加接種は、オミクロン株「BA.4」および「BA.5」に対し、1価ワクチンと比較して中和抗体価が4倍に上昇した。また、2価ワクチンの追加接種から1カ月後には、追加接種前と比較して中和抗体価が13.2倍に上昇した。一方、1価ワクチンを追加接種した場合は1カ月、追加接種前と比較して2.9倍だったとしている。18歳以上55歳未満の場合は、2価ワクチンの追加接種から1カ月後の、追加接種前と比較しての中和抗体価は9.5倍に上昇したとしている。

2価ワクチンの安全性と忍容性(注)については、1価ワクチンと同程度に好ましいとした。両社は、これらのデータは米国食品医薬品局(FDA)に提出済みで、欧州医薬品庁(EMA)を含む全世界の保健当局にも早急に共有する予定だとしている。

ビオンテックの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者のウグル・シャヒン医師は「科学的根拠に基づくアプローチの一環として、次のステップでは、現在使用されているワクチンの、新しい変異株と新派生型に対する交差中和を引き続き評価していく」とし、「われわれの目標は、オミクロンやその他の流行株を含む、新型コロナウイルス全般に対する免疫を提供することにある」とした。

(注)薬を投与した際の副作用に、患者がどれだけ耐えられるかの程度を表したもの。「忍容性」は、副作用が、患者が耐えうるものであれば「高い」とされ、耐えられない程のものであれば「低い」とされる。

(吉田奈津絵)

(米国)

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