世界気象機関、アフリカの気候変動リスクに関する報告書発表
(アフリカ)
中東アフリカ課
2022年10月04日
世界気象機関(WMO)は9月8日、アフリカの気候変動リスクに関する報告書2021年版を発表した。大気や海洋、地上からなる54の気候データを観測し、WMOが分析したもの。
アフリカ地域の主な気候変動とその影響に係るポイントは以下のとおり。
- アフリカ全域で気温上昇の傾向は続く。2021年は記録上、過去3番目または4番目に高く、特に北アフリカは過去最高を記録。
- アフリカの海面上昇は世界平均を上回る。特に紅海、南西インド洋は年間4ミリメートルのペース。2030年までにアフリカで1億800万~1億1,600万人が海面上昇の影響にさらされると予測。
- 水の消費量増加に加え、干ばつや異常気象が頻発。水資源の需要と供給はさらなる圧力にさらされている。東アフリカでは、雨季の雨量減少や地域紛争などから特に状況が厳しく、5,800万人以上が食糧安全保障上の危機にさらされている。大陸全土で2億5,000万人程度が水資源の不足にあり、2030年までにはこれが7億人に膨らむ見込み。
- 2019年のサイクロン「イダイ」に続き、2021年1月に再び南部アフリカをサイクロン「エロイーズ」が直撃し、大きな被害。4万3,000人以上が難民化。
- 気温上昇により、アフリカの農業生産性は34%減少。世界が1.5度気温上昇すると、西アフリカではメイズの収穫量が9%、南部と北アフリカでは小麦の収穫量が20~60%減少すると予測。
WMOは、アフリカ全土の人口の40%しか異常気象や気候変動の影響に対する早期警報システムにアクセスできていないとし、国際社会や各国政府にその強化を訴えている。
(佐藤丈治)
(アフリカ)
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