フォクスコンの半導体工場進出先はドレラに

(インド)

アーメダバード発

2022年10月20日

英国系鉱業・天然資源大手ベダンタ・グループと台湾系の電子機器受託生産(EMS)世界最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のフォックスコンとの合弁会社(JV)は、2022年9月にインド初の半導体製造関連分野での1兆5,400億ルピー(約2兆7,720億円、1ルピー=約1.8円)規模の大規模投資をグジャラート(GJ)州で行うことを発表したが(2022年9月21日記事参照)、同案件の進出先は、州内のドレラ特別投資地域(ドレラSIR)に決まる見込みだ。

現地報道によると、ラジブ・チャンドラシェカール電子工学・情報技術担当閣外相は「同合弁会社は州政府と合意し、進出先としてドレラSIRを選んだ。ドレラSIRにインド初の半導体工場がつくられるだろう」と述べている(「タイムス・オブ・インディア」紙10月18日)。

同相は「インドの半導体輸入の趨勢(すうせい)から、インドの半導体市場は2025年度までに総額900億ドル規模に上ると予想される。このままのトレンドで半導体市場が拡大するとすれば、この半導体需要のうち少なくとも30~35%はドレラSIRの半導体製造工場で賄えるだろう」と述べ、「同工場の周辺には半導体やエレクトロニクス分野での製造・デザインの爆発的なビジネス需要が見込まれ、ドレラSIR、およびGJ州はインド最大の半導体製造・デザインのエコシステムが形成される可能性が十分にある。ドレラSIRはアジアで最も重要な半導体製造の中心となるだろう」と、その大きな発展性に期待を寄せた。また現在、電子工学・情報技術省(MeitY)は、半導体製造関連分野の投資案件の新規提案を少なくとも5件ほど受けているとしている。

GJ州政府は7月に、中央政府の政策に呼応するかたちで、州独自の「GJ州半導体政策2022‐2027」を発表しており、その中で、(1)工業用地取得費用に対する助成、(2)電気、水道料金の軽減、(3)印紙税や登録費の還付、(4)手続き迅速化のための一括処理窓口(single window:シングル・ウィンドウ)の設置などの優遇措置を講じるとしている。加えて、(5)ドレラSIRに半導体産業を集積させていく方針が打ち出されており、今回の大臣のメッセージではドレラを半導体関連産業の一大集積地にしたいという政府(中央、州)の構想があらためて明確に示されたとみられる(2022年10月12日付地域・分析レポート参照)。

(古川毅彦)

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