インド太平洋経済枠組み、初の対面閣僚級会合で交渉目標を設定
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ニューヨーク発
2022年09月12日
米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚級会合が9月8~9日にロサンゼルスで開催され、4つの柱について閣僚声明がまとめられた。
米国商務省と米国通商代表部(USTR)のプレスリリースによると、閣僚声明において、IPEFに参加する日本、米国、オーストラリア、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの14カ国が、(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーン経済、(4)公正な経済の4つの柱について交渉目標を設定した(添付資料表参照)。参加国は交渉に参加する柱を選択できるが、インドが貿易について交渉参加を見送ったことを除けば、全参加国が4分野とも交渉に参加する。
ジーナ・レモンド商務長官は声明の中で、「初の対面会合は疑いようのない成功だった」とし、「今回の閣僚級会合では、IPEFが参加国に具体的で目に見える経済的利益をもたらす一方で、同時に、包摂的で高水準の枠組みを追求できることを証明した」と述べた。キャサリン・タイUSTR代表は閉会時の記者会見で、「今後は、それぞれの柱について参加国と交渉を進め、この閣僚級会合後に第1回の議論を行う予定だ」と語った。レモンド長官も「われわれはついに交渉を開始する。月曜日から懸命に仕事を始め、米国とIPEF参加国の人々に目に見える結果をもたらすために協力し続け、前進する」と発言した(政治専門誌「ポリティコ」9月9日)。また、第2回の閣僚級会合の開催時期について2023年初頭を示唆したとされる。交渉妥結のめどについて参加国間の合意は得られていないものの、レモンド長官は米国主催のAPEC首脳会合が行われる2023年11月を重要な日程として念頭に置いていると発言したとされる。今回の閣僚級会合を受け、世界のGDPの40%、財・サービス貿易の28%を占める経済圏において通商交渉が動き出す。
また、商務省とUSTRは今回の会合に合わせ、IPEFに参加する新興国・中所得国のデジタルスキル向上イニシアチブを創設した。まず、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムにおいて、アマゾンやアップル、シスコ、グーグル、マイクロソフトなど米国のテック大手14社が、特に女性を対象として、2032年までに50万人以上にデータサイエンスの訓練機会や起業家向けのデジタルツールなどを提供していくとしている。
(磯部真一)
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
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