米国、求職者が求める賃金の平均は約7.3万ドル、NY連銀調査
(米国)
ニューヨーク発
2022年08月31日
米国ニューヨーク連邦準備銀行(NYFED)は8月22日、求職者が就職しても良いと考える賃金水準(留保賃金)は平均年収で7万2,873ドルとなったとする調査結果を公表した。前年同月比では5.7%増加しており、2022年8月30日現在の為替レート(1ドル=約138円)を基準にすると、1,000万円を超える水準に達している。新型コロナ禍で人手が逼迫する中で上昇傾向が続いている(添付資料図参照)。
調査は、2014年3月から行われている4カ月ごとの定期調査で、約1,000人を対象に現在および将来の仕事について質問・聴取している。
今回2022年7月実施の調査結果によると、男性の留保賃金が8万6,259ドルで前年同月比6.5%上昇した一方、女性は5万9,543ドルで6.1%上昇と、男女間で伸びにやや開きがみられた。また、大卒以上の留保賃金は9万2,144ドルで8.5%上昇となったのに対して、大卒未満については6万59ドルで4.1%上昇にとどまったほか、45歳以下は7万6,971ドル(7.4%上昇)だったのに対し、45歳超では6万8,874ドル(3.3%上昇)と、労働市場が逼迫する中でも、性別や年齢などにより、賃金の伸び率には差がみられた。
また、調査において、過去4週間に仕事を探したことがあると回答した割合は24.7%と、前年同月の24.0%よりわずかに増加した。関連して、現時点で具体的に転職する可能性があると回答した割合は11.0%となり、こちらも前年同月(10.3%)からわずかに増加した。米国では、新型コロナ禍を機に退職を早めたとするアーリーリタイア層が多数存在するとの指摘があるが(2022年7月25日記事参照)、これに関連して、62歳を超えて働く可能性があると回答した割合は48.8%と前年同月(50.1%)から低下しており、統計開始以来最低の水準となった。また、67歳を超えて働くと回答した割合も32.4%と前年同月(31.3%)から低下しており、高齢期での勤労意欲が減退している傾向がみられる結果となった。
9月2日には、8月分の雇用統計が発表される。大きすぎる賃金上昇は、企業のコスト増につながり、高インフレに拍車をかける可能性があるが、経済動向のみならず実際の賃金動向を見極める観点からも、次回の雇用統計の結果に注目が集まる。
(宮野慶太)
(米国)
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