韓国貿易委員会、中国産とベトナム産シームレス銅管のAD税賦課を最終判定
(韓国、中国、ベトナム)
ソウル発
2022年08月25日
韓国の産業通商資源部は8月22日に貿易委員会を開催し、中国産およびベトナム産のシームレス銅管に対するアンチダンピング(AD)調査の結果、国内産業への被害があるとの最終判定を下した(2022年3月22日記事参照)。今後5年間で9.98%~18.12%のAD税の賦課を企画財政部長官に建議する。
また、中国の金龍新郷、寧波金田、上海海亮、ベトナムの金田ベトナムの4社から、輸出価格の引き上げ約束(注1)の提議があり、委員会で審議した結果、産業保護や価格安定を考慮し、総合的に判断した結果、提議の受け入れについて、企画財政部長官に併せて建議する。
企画財政部長官は、産業通商資源部からの建議をもとに、調査開始日(2021年10月29日)から12カ月以内にAD税賦課を最終決定する予定。貿易委員会の概要は以下のとおり。
1.申請者:ヌンウォン金属工業、プグァン金属
2.申請日:2021年9月28日
3.調査対象品目:シームレス銅管(Seamless Copper Tubes and Pipes)
(1)品目の詳細:外径3.80ミリ以上28.58ミリ以下、厚さ0.2ミリ以上2.00ミリ以下、長さ50メートル以上のコイル形態のシームレス管
(2)用途:耐食性や熱伝導率に優れ、エアコンや冷蔵庫などの家電製品および工業用熱交換器、冷暖房および空調システムなどに使用
(3)関税品目分類(HSK):7411.10.0000(注2)
4.国内の市場規模(2020年):約3,000億ウォン(約306億円、1ウォン=約0.102円)台、約4万トン台前後
5.供給企業別のダンピングマージン率
(1)中国:金龍新郷およびその関係会社(41.99%)、寧波金田およびその関連会社(26.65%)、上海海亮およびその関係会社(16.52%)、その他の供給企業(29.12%)
(2)ベトナム:金田ベトナム(9.98%)、海亮ベトナム(14.78%)、その他供給企業(11.63%)
6.AD税負荷水準
(1)中国:金龍新郷およびその関係会社(18.12%)、寧波金田およびその関連会社(18.12%)、上海海亮およびその関係会社(16.52%)、その他の供給企業(18.12%)
(2)ベトナム:金田ベトナム(9.98%)、海亮ベトナム(14.78%)、その他供給企業(11.63%)(注3)
(注1)輸出者が自発的に輸出価格を引き上げることにより、ダンピングによる国内産業への被害を回避する制度(WTOアンチダンピング協定8条)。これにより価格約束を提議した4社に対しては、AD税は不賦課となる。
(注2)韓国・中国FTAの譲許税率:4.2%、韓国・ベトナムFTAの譲許税率:0%。
(注3)金龍新郷およびその関係会社、寧波金田およびその関連会社、中国のその他供給者は、ダンピングマージンより産業被害の救済に必要なマージン(18.12%)の方が低いため、レッサー・デューティ・ルールに基づき、18.12%がAD税として適用される。
(当間正明)
(韓国、中国、ベトナム)
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