イラン核合意再建に向けた間接協議が再開も、進展見られず
(イラン、米国、EU)
テヘラン発
2022年06月30日
6月28~29日に、イラン核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」の再建に向けたイランと米国の間接協議が、カタールのドーハで行われた。同協議は、2022年3月以来3カ月ぶりの再開となった。イランからはバーゲリー・カーニ外務次官が協議に参加し、6月28日午後に仲介役のエンリケ・モラ欧州対外活動庁事務次長と会談した〔6月28日付イスラーム共和国通信(IRNA)〕。
今回の協議は、EUが仲介役となって再開された。EUのジョセップ・ボレル・フォンテーリャス外務・安全保障政策上級代表(欧州委員会副委員長兼任)が、6月25日に事前にイランを訪問し、イランのアミール・アブドゥラヒヤーン外相、アリー・シャムハーニー国家安全保障最高評議会事務局長とウィーンでの交渉の再開について協議していた。同上級代表は、自身のチームがファシリテーターとしてイランと米国を仲介するとし、イラン訪問前に米国側の交渉担当であるロバート・マレー特使とも会談を行っていた(6月25日付IRNA、6月26日付IRNA)。
アブドゥラヒヤーン外相は6月26日、ボレル上級代表との協議について、自身のツイッターで「非常に実りの多いものだった」としていた(6月26日付IRNA)。また同外相は27日、訪問先のトルコでのメブリュト・チャウシュオール外相との共同記者会見において、「米国だけでなく英国、ドイツ、フランスが現実的に行動すれば、ドーハでの協議が合意につながる可能性がある」と述べていた(6月28日付IRNA)。
しかし、モラ次長は2日間の協議を終えて、「残念ながらまだ、仲介役であるEUチームが期待したような進展はない。核不拡散と地域の安定のため、重要な取引(核合意)を軌道に戻すべく、さらに緊急性をもって取り組んでいく」とツイッターに投稿した。
この結果を受けて、イランの保守強硬派メディアであるタスニム通信は6月29日、「バイデン政権の力が弱く、最終決断ができないため、ドーハの協議は交渉の進展やJCPOAの復活に効果的ではなかった。JCPOA復活のためには、米国がイランのレッドライン(越えられない一線)に合意することが必要だ」と報じている。
(鈴木隆之)
(イラン、米国、EU)
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