マレーシア中銀が政策金利2%へ、4年ぶりに引き上げ
(マレーシア)
クアラルンプール発
2022年05月13日
マレーシア中央銀行は、5月11日の金融政策会合(MPC)で、政策金利を0.25ポイント引き上げ2.0%にすることを決定した(中央銀行プレスリリース)。新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響を緩和するため、中銀は2020年中には政策金利を段階的に引き下げ、同年7月以降は過去最低の1.75%に据え置いていた。世界の経済活動再開や労働市場の改善がマレーシア経済の回復を下支えしているとの判断から、2018年1月以来(2018年2月15日記事参照)、4年4カ月ぶりの利上げに踏み切った。ロイターの事前調査では、今回は金利を据え置き、第3四半期以降に引き締めに動くとの予測が大半だった。
中銀は声明で、マレーシアの輸出拡大やこれに伴う内需回復が、各種指標に表れていると指摘。労働市場でも、失業率の低下、労働参加率の上昇、所得見通しの改善が見られていると分析した。また、新型コロナのエンデミックへの移行に伴い、4月以降に入国規制緩和や国境再開を行ったことが経済活動を後押ししていることや、民間投資も活発化の兆しがあるとの見解も示した。
2022年の総合インフレ率については、平均2.2~3.2%と予測。価格への上昇圧力は、既存の価格統制や経済の余剰力によりある程度抑制されるものの、ウクライナ情勢の悪化やサプライチェーン混乱の長期化といった要因に、引き続き大きく左右されうるとも指摘した。
今後の金融政策の方向性については、一次産品価格の上昇やサプライチェーン制約、需要拡大によりインフレ圧力が高まっていることから、各国中銀がインフレ圧力の軽減に向け金融引き締めに動くと予想。マレーシア中銀もこれに歩調を合わせ、今後慎重かつ段階的に金利引き上げを行う考えを示唆した。一方で、世界経済の回復スピードが予測を下回る可能性や、地政学的リスクの一層の悪化、サプライチェーン混乱、新型コロナの状況悪化、コモディティ価格の急騰といった下振れリスクにより、先行きには依然として慎重な見方も示した。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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