上海市の第1四半期成長率、前年同期比3.1%に減速、3月の消費は減少
(中国)
上海発
2022年05月06日
上海市統計局が4月23日に発表した2022年第1四半期(1~3月)の経済概況によると、同市の実質域内総生産(GRP、速報値)成長率は、前年同期比3.1%にとどまり、前年同期(17.6%増)に比べて大きく減速した(添付資料表参照)。上海市の経済は、1~2月は安定していたが、3月後半以降の新型コロナウイルスのまん延に伴い、減速傾向が強まった。
需要面の指標をみると、消費動向を示す社会消費品小売総額は前年同期比3.8%減と減少した。2021年第1四半期(48.9%増)に比べ大幅に悪化し、今期の中国全体の伸び率(3.3%)を下回った。月別にみると、1~2月は3.7%増だったが、3月は18.9%減と2桁の減少を記録した。新型コロナウイルス感染者が確認された地域で、住民の移動が制限されたことが背景にあるとみられる。3月の項目別伸び率は、外食売上高が前年同月比40.0%減、自動車が37.2%減、アパレル類が30.0%減と大幅に減少した。
固定資産投資は前年同期比3.3%増だった。インフラ投資(2.6%増)、工業投資(3.1%増)、不動産投資(2.6%増)のいずれも小幅増にとどまった。貿易総額は14.6%増の1兆79億元(約19兆7,548億円、1元=約19.6円)だった。うち輸出(23.8%増)は、主要市場のEU(43.6%増)や米国(23.5%増)向け輸出の増加により、前年同期(14.3%増)に比べ増加幅は拡大した。対日輸出は8.6%増だった。輸入は8.9%増と1桁の伸びにとどまったほか、3月の輸入は8.3%減と減少に転じた。
供給面では、最も規模が大きい第三次産業は前年同期比3.3%増、第二次産業は2.4%と、いずれも5%以下の伸びにとどまった。第二次産業に関し、一定規模以上の工業企業(注)の生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比3.9%増で、前年同期の伸び率(34.5%)に比べると、増加幅は大きく縮小した。
なお、対内直接投資(実行ベース)は17.8%増の66億2,800万ドルとなった。香港、シンガポール、欧州、米国、日本など上位5カ国・地域からの投資が全体の91.0%を占めた。
新型コロナウイルス感染拡大を防止するべく、上海市では3月末以降、封鎖措置を取ってきた。4月9日以降は3区分管理に移行したが(2022年4月14日記事参照)、企業や個人の活動は依然として厳しく制限されており、経済にも大きな影響が出ている。新型コロナウイルス感染の影響がより顕著となる第2四半期(4~6月)の経済指標はより厳しいものとなる可能性もある。
(注)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。
(劉元森)
(中国)
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