ニューヨーク市の約8割の企業、今後もハイブリッド体制の働き方を継続、米非営利組織調査
(米国)
ニューヨーク発
2022年05月13日
米国ニューヨーク市の非営利会員組織、パートナーシップ・フォー・ニューヨーク・シティーが5月9日に公開した、同市内の主要企業160社以上を対象に実施した調査(注)によると、回答企業の約8割が出社とリモートワークを併用するハイブリッド体制の働き方を今後も継続する見通しであることがわかった。
同調査結果によると、4月中旬時点で、同市内の企業で勤務する社員の平均出社率は約4割にとどまり、週5日の勤務者は8%、完全にリモートワークは28%だった。今年9月第1週の月曜日(労働の日)を境に出社率は上昇し、同月の平均出社率は半数近くに増加すると同組織は予想しているが、新型コロナウイルスの流行状況にかかわらず、今後もリモートワークは定着・継続される見込みとしている。オフィス復帰が進まない最大の要因として、街頭や地下鉄でのホームレスや精神障害者の増加が最も多かった。回答企業は、オフィス復帰を促すためにも、街頭や地下鉄での警察官のプレゼンスを高めることを求めている。米国キニピアク大学が実施した世論調査でも、回答者の9割以上が市内の治安悪化が深刻だと実感しており(2022年2月15日記事参照)、これがリモートワーク継続の一因となっている可能性が高い。
また、メキシコ工科大学、スタンフォード大学、シカゴ大学が行った調査によると、ハイブリッド体制の働き方を採用する企業が増える中、職場周辺の外食や衣服のクリーニング代などのサービスに対する年間支出が大幅に減少すると見込まれており、オフィス通勤者を対象としたこうした小規模ビジネスは閉鎖を余儀なくされることが懸念されている。ニューヨーク市における従業員1人当たりの年間支出額については、新型コロナ流行前の約1万3,700ドルから6,730ドルに半減すると見込まれており、主要都市の中で最大の減少幅になると推定されている(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版4月11日)。
エリック・アダムス同市長は、職場復帰が遅れていることが新型コロナからのニューヨーク市の経済回復を遅らせていると指摘した。市によると、市内の5つの行政区では少なくとも2割程度のオフィススペースが2026年まで空室のままになると予測されている。これは新型コロナ流行前の10%程度の2倍で、空室率が長期間にわたって15%を超えるのは1990年代初頭の経済不況以来となる(「USタイム・トゥデイ」4月27日)。
(注)調査の実施時期は4月21日~5月4日。
(樫葉さくら)
(米国)
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