バイデン米大統領、議会に330億ドルのウクライナ支援予算を要請
(米国、ロシア、ウクライナ)
ニューヨーク発
2022年05月02日
米国のジョー・バイデン大統領は4月28日、議会に対して330億ドル規模のウクライナ支援予算を要請した。安全保障、経済、人道面での追加支援のためとしている。
バイデン大統領は記者会見で、3月に成立した歳出法案で認められたウクライナ支援用の予算をほぼ使い切ったとし、この重大な局面で迅速に追加予算が承認されることが必要と強調した。ホワイトハウスのファクトシートによると、要請した予算の大部分に当たる204億ドルをウクライナに対する軍事支援と、米国がNATO同盟国と協力して欧州東部の安全保障を強化する取り組みに充てるとしている。経済面では、85億ドルをウクライナ国民への食糧やエネルギー、医療サービスの提供、同国政府への支援などに充てる。人道面の支援では30億ドルを、今回の危機で不安定化している国際的な食糧安全保障の強化などに充てるという。このほか、司法省による対ロ制裁の執行強化や、米国内での穀物や重要鉱物の生産支援などにも予算を手当てするとしている。米メディアによると、今回の追加予算提案は、議会で超党派の支持を受ける見込みだ(CNBC4月28日)。
差し押さえた制裁対象の資産の流用も提案
バイデン大統領は議会に対してさらに、制裁対象となったロシアの富豪に対する法執行を合理化し、押収対象とする資産を拡大するとともに、差し押さえた資産をウクライナ支援に流用できるようにする法案の可決も要請した。ホワイトハウスのファクトシートによると、財務省と司法省に、制裁対象となったロシア富豪の米国内資産の差し押さえに関して新たな行政プロセスを設けることや、ロシア政府との腐敗絡みの取引から直接得られた収益と知りながらそれを保有することを違法として刑事訴追できる権限を設けることなどが含まれている。バイデン大統領は「この法案はロシアの腐敗政治に関連した資産を差し押さえるための、われわれの法執行権限を強化する」としている。
(磯部真一)
(米国、ロシア、ウクライナ)
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