IPEF参加13カ国による共同声明を発表、4本柱の協議開始で合意

(米国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

米州課

2022年05月24日

ジョー・バイデン米国大統領は5月23日、米国および日本を含む13カ国(注1)とインド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity)の立ち上げを発表し(2022年5月24日記事参照)、その後、全参加国による共同声明〔外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日(仮訳)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を公表した。共同声明では、参加国間で経済的関与を深めることが、成長、平和および繁栄の継続にとって極めて重要であることを共通認識するとした上で、IPEFを構成する4つの柱(注2)について将来の交渉に向けた議論を開始するとした。

貿易については、ハイ・スタンダードで、包摂的で、自由かつ公正な貿易に係るコミットメントの構築を追求するとして、デジタル経済における協力を含む、貿易・技術政策において新しく創造的なアプローチを発展するよう努めるとした。

サプライチェーンについては、強靭(きょうじん)で統合されたサプライチェーンの構築に向け、危機対応策の調整、事業継続をより確実にするための混乱の影響へのより良い備えと影響の軽減のための協力の拡大、ロジスティックスの効率と支援の改善、主要原材料・加工材料、半導体、重要鉱物、およびクリーンエネルギー技術へのアクセスを確保するとした。

クリーンエネルギー・脱炭素化・インフラについては、パリ協定の目標達成に向け、経済を脱炭素化し、気候の影響に対する強靱性を構築するために、クリーンエネルギー技術の開発と展開を加速するとした。

税・腐敗防止については、租税回避および腐敗を抑制するために、効果的で強固な税制、マネーローンダリング防止、及び贈収賄防止制度を制定し、施行することにより、公正な経済を促進するとした。

また、共同声明ではIPEFに関心を有する他のインド太平洋地域の国・地域にも参加を呼びかけるとして、今後の枠組み拡大に対して歓迎する姿勢を示した。

IPEFは貿易協定のかたちを取らない、有志国による法的拘束力を伴わない緩やかな協力ベースの枠組みと目されるが、岸田首相はIPEF立ち上げに際する冒頭あいさつPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で「IPEFが地域の経済秩序にとって有意義な枠組みとなるためには、参加する各国が必要としている分野で、できるものから早期に具体的な成果を出していくことが重要」「デジタル貿易に関するものをはじめ、地域で共通のルールやスタンダードを作り、透明性と予見可能性を向上させていくと共に、人材育成や技術支援などの協力も盛り込み、協力とルールのバランスが取れた枠組みを関係国で共に考え、創っていこう」と参加国に呼びかけた。

(注1)発足段階での参加国は、米国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの13カ国。

(注2)(1)公平で強靭性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー、(4)税、反腐敗の4つ。 

(葛西泰介)

(米国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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