「ダイナミックゼロコロナ」は「感染者数ゼロ」ではないと専門家が解説
(中国)
北京発
2022年04月21日
中国疾病予防抑制センターの呉尊友首席専門家は4月18日、自身のSNSで新型コロナウイルスに対する中国の「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策と、「ゼロコロナ」の違いを説明した。直近の中国国内での感染急拡大により、「ダイナミックゼロコロナ」政策継続の困難さを指摘する声もあることに答えたもの。
呉首席専門家は、「ダイナミックゼロコロナ」政策の「ゼロ」は、国内全てで感染者数をゼロに抑えるという意味ではなく、ある特定の地域・時期において感染が発生した場合にそれを抑え込み、発生地内での流行や他地域への拡大を防ぐことだとした(注)。
また、感染発生地において、感染者数をゼロにするのではなく、感染者が隔離されており、自由に活動している人々の中に感染者が存在しない「社会的ゼロ」の状態を目指すものとの認識を示した。
市民生活への影響については、「ダイナミックゼロコロナ」政策は「早期発見、早期報告、早期隔離、早期治療」により感染の伝播(でんぱ)を断ち切ることが要点で、これが実現していれば、都市封鎖(ロックダウン)も、住民全員に対するPCR検査も必要ないとの考えを示した。
経済に対する影響については、「ダイナミックゼロコロナ」政策は「経済建設への最大の後方支援」で、経済成長への影響は「ダイナミックゼロコロナ」政策を採用しなかった場合の半分にとどまる、との専門家の初歩的な分析を紹介した。
中国では、習近平国家主席が「ダイナミックゼロコロナ」政策を引き続き「堅持する」と強調するなど、国情に最も適したものとして、引き続き同政策を継続する方針を示している(2022年3月25日記事、4月11日記事参照)。
(注)「ダイナミック」については、A地点で発生した感染拡大を「ゼロ」にした後、B地点で感染拡大が生じたり、A地点で再度感染拡大が起きたりという「感染拡大と『ゼロ』との間の絶え間ない状況の変化」を意味するとした。「ダイナミックゼロコロナ」政策においては、個別の感染拡大は直接、伝播することはなく、短期間で抑え込み「ゼロ」にすることが可能としている。
(河野円洋)
(中国)
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