欧州委、循環型経済を推進するためのエコデザイン規則案を発表

(EU)

ブリュッセル発

2022年04月04日

欧州委員会は3月30日、「循環型経済行動計画」(2020年6月4日付地域・分析レポート参照)に基づく、持続可能な製品政策枠組みのパッケージ第1弾(注)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。パッケージは、2009年に施行されたエコデザイン指令を改正する、持続可能な製品のためのエコデザイン規則案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを中核とし、持続可能な循環型繊維製品戦略(2022年4月4日記事参照)、建設資材の持続可能性に関する規則の改正(2022年4月4日記事参照)、消費者のエンパワーメントに関する指令案も含まれている。

現行のエコデザイン指令は、冷暖房機器や冷蔵庫をはじめエネルギー消費の大きい家電など約30の製品グループをカバーし、EU域内で販売・利用される対象製品のエネルギー消費を抑制する観点から、製品仕様の基本要件やその適合性評価の枠組みを定めている。今回の改正案では、指令を加盟国で直接適用される規則に置き換えて、域内での統一的な運用を図るとともに、食品・飼料・医薬品など限られた例外を除く幅広い製品に対象を広げる。

製品の修理可能性など各種情報を記録した「デジタル製品パスポート」を導入へ

エコデザイン規則案では、対象製品に共通して求められる耐久性、再利用可能性、改良・修理可能性、エネルギー効率性などの各種基本要件および消費者のための情報開示などが義務付けられる。製品ごとの特性に応じた詳細は別途、欧州委の委任法令により規定される。欧州委は2022年末までに、環境影響の大きい分野を中心に、優先的に委任立法を進める製品分野の選定を進めるためのパブリックコンサルテーションを実施する。優先分野として、欧州委の初期評価では繊維製品、家具、タイヤなどの消費財に加え、鉄鋼・アルミニウム製品など中間財も候補に挙がっている。

規則案では、新たに製品情報を電子的手段で集約した「デジタル製品パスポート」を製品自体、パッケージまたは製品に付属する書類上に添付することを義務付ける。同パスポートは、製品の修理・メンテナンスやリサイクルなど製品のライフサイクル全体を念頭に、消費者だけでなく、輸入者・販売者、修理・リサイクル業者、公的機関などが必要とする各種情報の書き込みが求められる。また同パスポートには、製品のエネルギー性能に関するラベリングを設定することも可能になる。

さらに、規則案では新たな要素として、売れ残った消費財の廃棄に関する規定を設けている。中小企業を除く事業者に対して、廃棄した消費財の年間量や、廃棄する理由、リサイクルや再生産への取り組み状況などの情報開示を求める。また、廃棄が環境に著しい悪影響を及ぼす場合、欧州委は廃棄を禁止することができる。

今回のパッケージで発表された消費者のエンパワーメントに関する指令案(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、製品の耐久性や修理可能性などの情報を、消費者に提供する義務を販売業者に課し、これらの情報の不開示を含む不公正な商業慣行の禁止を強化することでグリーン・ウォッシングを防ぐ狙いがある。

いずれの法案も今後、欧州議会およびEU理事会(閣僚理事会)で審議される。

(注)第2弾は、包装に関する規制強化や代替プラスチックの政策枠組みなどを内容とし、2022年7月の発表が予定されている。

(安田啓)

(EU)

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