英国政府、世界的な暗号資産技術のハブ化に向けた計画を発表
(英国)
ロンドン発
2022年04月07日
英国政府は4月4日、英国を暗号資産技術の世界的なハブにする計画を発表。計画の一環として、暗号資産の一種であるステーブルコイン(注1)を、有効な決済手段として認める方針で進めることを示した。
今回発表した計画は同国の金融サービス分野が、科学技術の最前線を維持し、投資と雇用を呼び込み、消費者の選択肢を広げるためのものとしている。主な計画は以下のとおり。
- 企業の技術革新を支援する金融市場インフラサンドボックスを導入し、企業の実証とイノベーションを可能に。
- 暗号資産エンゲージメント・グループを設立し、金融業界と緊密に連携。
- 英国金融行為規制機構(FCA)は、2022年5月に規制政策策定にあたり金融業界関係者とのイベント「クリプトスプリント」を開催。将来の暗号資産体制に関する主な課題につき、業界から意見を直接募集。
- 暗号資産市場のさらなる発展促進のため、英国税制の競争力強化を模索。暗号資産の保有者が貸し出す分散型金融(DeFi)ローンの税務上の取り扱いなどを見直し。
- 非代替性トークン(NFT、注2)を英国王立造幣局と共同で2022年夏に開発。
リシ・スーナック財務相は「今回発表した計画によって、世界各国の企業が英国で投資、イノベーション、拡大を行えるようになる」と述べた。
ジョン・グレン財務省経済長官は、4月4~5日に開催されたイノベート・ファイナンス・グローバル・サミットの基調講演で、英国政府が2022年下期に暗号資産分野の規制について幅広く意見募集を行うと述べた。また、同長官は、英国金融市場への分散型台帳技術(DLT)の潜在的なメリットについても積極的に検討するとし、国債へのDLT利用の実行可能性と潜在的メリットに関する研究プログラムを開始することを確認した。
FCAが2021年6月に発表した消費者への調査結果では、英国の成人のうち、暗号資産について聞いたことがあると回答した者の割合は2020年調査から5ポイント増加し78%となった。また、暗号資産の保有者数も同約40万人増の約230万人と推計。一方で、暗号資産への総合的な理解度が低下しているほか、暗号資産の利用者の中でもステーブルコインをはっきりと理解としている者は約半数だとした。
(注1)特定の法定通貨と連動させるなどして、価格変動リスクを低減させた暗号資産。
(注2)ブロックチェーン(分散型台帳技術)上で取引・発行される、偽造不可な唯一無二の鑑定書・所有証明書付きデジタルデータ。
(島村英莉)
(英国)
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