米議会、対中競争法案調整の両院合同委員会メンバーを発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2022年04月11日
米国連邦議会の上下両院は4月7日、各院で可決済みの対中競争法案の相違点を調整するための両院合同委員会に参加する議員を発表した。上院から26人(民主:13人、共和:13人)、下院から81人(民主:50人、共和:31人)の合計107人で構成される。
合同委員会で議論する対中競争法案は、上院で2021年6月に「米国イノベーション・競争法案(USICA)」として、下院で2022年2月に「米国競争法案(America COMPETES Act)」としてそれぞれ可決されたものだ(2022年2月7日記事参照)。中国との長期的な競争を念頭に、国内の製造業に投資することなどが中核となっている。両法案には、米産業界が要請する520億ドルの半導体産業向け補助金予算が含まれており、バイデン政権も法案の早期成立を求めている。
他方、両法案には通商関連条項を中心に大きな相違があるため、両院合同委員会での調整が必要となった。通商条項の中でも、2020年末から失効状態が続き、産業界から更新の要請が強い「一般特恵関税制度(GSP)」や「2018年諸関税法(MTB)」(注)は各院の法案に含まれているが、以下の点で大きく異なっている。
- 上院案にのみ含まれている条項:1974年通商法301条に基づく対中追加関税の適用除外措置の拡大。
- 下院案にのみ含まれている条項:アンチダンピング・相殺関税法の執行強化、条件該当国(実質的に中国のみ)からの少額輸入(800ドル以下)に対する関税免除措置の適用停止、安全保障上懸念のある米国企業の対外投資を審査するプロセスの設立、貿易により失業した労働者を支援する貿易調整支援プログラム(TAA)の更新・拡充(現行TAAは2022年6月末に失効予定)。
合同委員会での法案調整の先行きは不透明だ。上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)は「上院から参加する議員が国民のために迅速かつ誠実な交渉を推し進め、最終法案の非常に早い段階での可決を期待している」との声明を出している。一方、上院共和党トップのミッチ・マコーネル少数党院内総務(ケンタッキー州)は、下院法案に民主党の優先事項が盛り込まれている、と不満を述べた上で「下院民主党から主だった譲歩がなければ、この法案が成立する見込みはないだろう」と対決姿勢を示している。
(注)GSPは、途上国からの輸入に対して特恵関税を認める制度。MTBは、米国内で調達しにくい原材料の関税を引き下げる制度。2020年末に失効した経緯については、2020年12月25日記事を参照。
(磯部真一)
(米国、中国)
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