米2月の雇用者数は67万8,000人増の高水準、失業率は3.8%まで低下

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月07日

米国労働省が3月4日に発表した2月の非農業部門の雇用者数は前月から67万8,000人増え、市場予想(44万人増)を上回った。失業者数が前月から24万3,000人低下したことに加え、就業者数が54万8,000人増加したことにより、失業率は3.8%(添付資料図、表1参照)と、前月(4.0%、2022年2月7日記事参照)から0.2ポイント低下した(市場予想は3.9%)。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(95万9,000人)より7万1,000人減少して88万8,000人、恒常的な失業者数は前月(163万人)より4万7,000人減少して158万3,000人となった。

労働参加率(注)は前月から0.1ポイント上昇の62.3%だった。2月の労働力人口は前月から30万4,000人増加している。

平均時給は31.58ドル(1月:31.57ドル)で、前月比0.0%増(1月:0.6%増)、前年同月比5.1%増(1月:5.5%増)とともに伸びは鈍化している(添付資料表1参照)。

2月の非農業部門雇用者数の前月差67万8,000人増の内訳をみると、民間部門は65万4,000人増。そのうち財部門は10万5,000人増で、主な業種として製造業は3万6,000人増、建設業は6万人増だった。サービス部門は54万9,000人増で、娯楽・接客業17万9,000人増、教育・医療サービス業11万2,000人増、対事業所サービス9万5,000人増、運輸倉庫業4万8,000人増、小売業3万7,000人増とほぼ全ての業種で堅調に増加している。なお、政府部門も2万4,000人増で4カ月連続の増加だった。(添付資料表2参照)。

人種別の雇用状況について、2月の失業率は、白人3.3%(前月3.4%)、アジア系3.1%(前月3.6%)、ヒスパニック・ラテン系4.4%(前月4.9%)、黒人6.6%(前月6.9%)と全ての人種で改善した。

1月に引き続き2月も堅調な雇用情勢となったが、労働参加率がわずかながら上昇する中で、失業率が新型コロナウイルス感染拡大前と遜色ない3.8%まで低下した。平均時給の伸びは前月比、前年同月比ともに大幅に鈍化しており、人々が労働市場に戻っていることに加え、雇用逼迫が徐々に解消に向かっている可能性もある。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は3月2、3日に行われた議会証言で、現在の雇用環境は非常にタイトで最大雇用に近いという認識を示し、「(次回のFOMC(3月15、16日)で)0.25ポイントの政策金利引き上げを提案・支持したいと思っている」と、異例の事前の政策金利引き上げ予告を行った(ブルームバーグ3月2日)。一方で、緊迫化するウクライナ情勢について「短期的な経済への影響は依然として非常に不確実」「われわれは、今後入ってくるデータと変化する見通しに機敏に対応する必要がある」と述べて、今後については硬軟両方の柔軟な対応があり得るとの姿勢を示している(FOXビジネス3月4日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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