ECサイトなどでの模倣品販売、権利者からの通報が不可欠
(インドネシア)
ジャカルタ発
2022年03月10日
模倣品対策についての現状と今後の取り組みを紹介するため、インドネシア知的財産総局(DJKI)は3月1~2日、日本の特許庁、国際協力機構(JICA)、ジェトロと協力して日インドネシア実務者対話を実施した。DJKI、インドネシア税関総局、国家警察と、日系企業との間で、知的財産権の侵害に対する手続き、EC(電子商取引)サイトにおける模倣品対策、模倣品のリスクに関する普及啓発活動、税関の情報登録などについて意見交換が行われた。
米国通商代表部(USTR)が2月17日に公表した、模倣品や海賊版が流通する市場リスト(2021年版)では、インドネシアで展開する大手ECサイト「トコペディア(Tokopedia)」「ブカラパック(Bukalapak)」「ショッピー(Shopee)」に模倣品が出品されていることなどが指摘されている。これについてDJKIは、ECサイトで模倣品を購入したとの通報を受けた場合、通報者から説明を聴き、オペレーションタスクフォースを構成する関係取り締まり機関と連携して調査・分析を行い、模倣品の販売者やECサイトに対する捜査を行う、と述べた。ただし、国家警察によると、知的財産分野の犯罪は「Delik Aduan」(親告罪)で、捜査を始めるには、知的財産の権利者からの通報が必要不可欠だ。
また、消費者が模倣品を誤って購入した場合、購入した模倣品の実物、領収書や購入を証明するもの、店舗・ショッピングセンターの名称などを、証拠として被害届を出す。ECサイトでの模倣品販売の場合、知的財産の侵害者の情報がメールアドレスしかないが、DJKIによると、その場合はメールアドレスのほか、電子データでの受領書や領収書、販売者とのメールなどのやりとりなどを添付してもらうのが望ましいとの見解を示した。
模倣品のリスクに関する普及啓発活動について、DJKIは、知的財産の侵害品を予防するだけでなく、中小企業が商標を登録することのメリットや、模倣品をそもそも利用しないようにする呼び掛けを行っていると述べた。さらに、若者向けに知財に関する本や冊子を作成し、小中高向けの教育を行っているとの紹介があった。なお、実務者対話では、日系企業が模倣品対策の取り組みや、真贋(しんがん)判定ツールなども紹介した。
(佐々木新平)
(インドネシア)
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