ベルギーが新たなエネルギー価格対策発表、ウクライナ情勢緊迫化に伴う企業支援も

(ベルギー、ウクライナ)

ブリュッセル発

2022年03月22日

ベルギー連邦政府は3月15日、新型コロナウイルス危機からの景気回復を背景としたエネルギー価格の高騰に続き、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴ってエネルギー価格がさらに高騰しているとし、追加の経済対策を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。財政支出の規模としては約13億ユーロが見込まれる。主な内容は以下のとおり。

  1. 住宅用電力の付加価値税(基本税率:21%)の6%への軽減措置を9月30日まで延長。
  2. 住宅用の天然ガスの付加価値税を4月1日~9月30日まで6%に低減。
  3. 石油、プロパンガス、ブタンガスを暖房用に使用している全住居を対象に、200ユーロを請求額から直接割引(1回限り)。
  4. 軽油とガソリンの特別物品税の時限的な軽減措置(1リットル17.5ユーロセントを減税)の実施。ただし、1リットルの価格が1.7ユーロを下回った場合は軽減措置を停止。
  5. 7月に予定していたベルギー国鉄(SNCB/NMBS)の運賃改定(4.5%の値上げ)の凍結。

連邦政府は2月初旬にエネルギー価格高騰に伴う経済対策として、全世帯を対象に電気料金の請求額から100ユーロを直接差し引く措置や、住宅用電気料金の付加価値税を3~6月末まで6%に低減するなど、11億ユーロ規模の措置を既に発表していた。

また、連邦政府はエネルギー企業の超過利潤を電力・ガスの消費者に再分配する可能性について(2022年3月11日記事参照)、欧州委員会による協議を待つとしつつも、EUによるイニシアチブに進展がみられない場合は、政府による調査を経て6月に独自のイニシアチブを策定するとしている。さらに、EUに対しては、エネルギー価格の上昇に対する構造的な対策を策定するよう働きかけていくという。加えて、エネルギーや原材料の高騰は企業の事業コストにも大きな影響を与えるとして、ベルギー国立銀行に各産業分野への影響をより詳細に分析するよう要請した。この調査を基に、今後のエネルギー価格高騰に対する企業向け政策の実施を検討する。

政府は今回、ウクライナ情勢の緊迫化とロシアに対する経済制裁の影響を受ける企業に対する支援策も併せて発表した。ウクライナ情勢に起因する不可抗力による一時帰休制度を4月1日~6月30日に導入する。同制度は3月31日に失効する新型コロナウイルス感染拡大を受けた一時帰休制度と同様の要領で実施(2020年4月24日記事参照)する。

(大中登紀子)

(ベルギー、ウクライナ)

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