サプライチェーン逼迫に関する指標GSCPI、2月は3.31で2カ月連続低下
(米国)
ニューヨーク発
2022年03月08日
米国ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は3月3日、1月から新たに公表を始めたサプライチェーンの逼迫状況に関する経済指標のグローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI)を更新し、2月のGSCPIは3.31と、2カ月連続の低下になったことを明らかにした。
GSCPIは国内と国際的なサプライチェーンにどれだけ圧力や混乱が生じているかを表しており、データ対象期間の平均をゼロとし、値が大きいほどサプライチェーンが逼迫している状況を表す。なお、現時点ではGSCPI公表は不定期となっている(2022年1月18日記事参照)。
NY連銀によると、2月のGSCPIの改善は広範囲に及んでおり、特に英国での積み残し貨物やアジアから他地域への出荷遅延の改善が大きく寄与したとしている。一方で、悪化した項目は、アジアの他地域からの入荷遅延や中国での商品配達時間などとなっている。国・地域別では、英国が最も改善幅が大きく、次いで台湾、米国となっている。
GSCPIは2カ月連続の改善となったものの、その推移を見ると、歴史的にはいまだ高い水準にある(添付資料図参照)。米国でも2月のGSCPIは改善したが、現場では中小企業を中心にサプライチェーンの問題はまだ苦しい状況が続いている。連邦準備制度理事会(FRB)が2月22日に公表した従業員500人未満の中で、企業収益が新型コロナウイルス感染拡大前の水準をまだ下回っていると回答した企業は63%に上っており、経営上の最大の課題として「質の高い労働力の確保」と並んで、「サプライチェーン問題」を挙げた企業は60%となっている(注)。加えて、ウクライナ情勢の緊迫化により、今後また物流輸送の混乱の発生が予想され、実際に海上輸送や航空便など輸送コストを追跡しているバルチック海運指数は3月3日時点で約2,100と、2月初旬の約1,400から5割程度上昇している。懸念されていたオミクロン株感染拡大がサプライチェーンに及ぼす影響は軽微なもようだが、今後の混乱拡大に引き続き留意する必要がある。
(注)「販売先確保・売上増」53%、「法令の順守」40%、「顧客・従業員の健康・安全の確保」38%が続く。
(宮野慶太)
(米国)
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