3月7日から、バリ島観光で隔離なし入国が可能に
(インドネシア)
ジャカルタ発
2022年03月11日
インドネシアのバリ島において、外国人観光客を対象に3月7日から隔離なし入国の試験的運用が開始された。日本など指定国からの旅行者で、2回の新型コロナワクチン接種を完了しており、入国前のPCR検査で陰性であることなどを条件とする。バリ島の国際空港で購入する到着ビザ(VOA)で入国の上、入国時のPCR検査で陰性であれば、隔離なしで観光を行うことができる。ルフット・パンジャイタン海洋投資調整相は2月27日に開催された会見で、「今回の試験的運用がうまくいけば、4月1日もしくはそれ以前に、全ての外国人観光客を対象に隔離無し入国を受け入れる」と述べ、全面的な観光客受け入れ再開に期待をにじませた。
今回の運用に先駆け、法務・人権省入国管理局は3月7日、日本を含む23カ国からバリ島に入国する外国人観光客に対する到着ビザ(VOA)の発給を再開した。政府の新型コロナウイルス対応タスクフォースが3月8日発表した通達2022年第13号によると、今回の試験的運用で外国人観光客に求められる主な条件は以下のとおり。
- 新型コロナウイルス感染の検査・ワクチン接種管理用アプリ「プドゥリリンドゥンギ(PeduliLindungi)」のダウンロードと、「ヘルスアラートカード(e-HAC)」の必要事項の入力(注1)。
- 出発の14日前までに新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を受け、物理的もしくは電子的に接種を証明できるもの(言語は英語)。
- 出発前48時間以内に行ったPCR検査の陰性証明書。
- 最低4日分のホテルへの宿泊予約(支払い済み)の提示。
- 入国時にPCRテストを受検し、陰性の結果が出るまではホテルの部屋で待機。宿泊3日目に再び各自のホテルでPCRテストを実施。
- 入国者は、新型コロナウイルス感染症の治療費をカバーするための医療保険への加入が必要。医療保険の支払い可能額は最低2万シンガポール・ドル(約168万円、Sドル、1Sドル=約84円)。
なお、同通達では、シンガポールに近いバタム島およびビンタン島も対象となっている。地元報道によると、ジョコ・ウィドド大統領の指示により、まもなくバリ島と同様にVOAの発給が開始される見込みだ(「リプブリカ」3月7日)。
インドネシア統計庁(BPS)によると、バリ島のングラ・ライ国際空港から入国した外国人観光客数は、2019年が約624万人だったのに対し、「新型コロナ禍」以降は入国制限が実施された影響で、2020年が約105万人、2021年は43人と大幅に減少していた。インドネシア最大のホテルチェーンの1つ「ホテル・サンティカ」担当者は、「隔離なし入国により、バリにおける客室稼働率は14%程度改善されると見込んでいる」とコメントした(「コンタン」3月7日)。
インドネシアの国内観光にも復調の兆し
インドネシアでは、各州の星付きホテルの客室稼働率が徐々に改善傾向にあるなど、国内の観光業も徐々に回復しつつある。中央統計庁のデータによると、インドネシア全体では2021年8月から上昇傾向にあり、2022年1月(42.43%)は前年同月比で約40%増加した(添付資料図参照)。
インドネシアで旅行サイトを運営するチケット・ドットコムは、同社の2021年の受注数が「新型コロナ禍」以前と比較して2.3倍に増加したとする。同社は「ステイケーション(注2)が根付いたことが要因だ」と分析する(「シンドニュース」2月1日)。
(注1)「PeduliLindungi」(英語、Android、iOS対応)は、スマートフォンのアプリストアでダウンロード可能。e-HACの入力も、同アプリ内で行うことができる(3月7日時点、新型コロナタスクフォース)。
(注2)ステイケーション(Staycation)とは、滞在を意味する「ステイ(Stay)」と休暇を意味する「バケーション(Vacation)」を組み合わせた言葉。遠出をせず、自分の住んでいる地域から近い場所に滞在・旅をして楽しむ旅行スタイルという意味。
(上野渉、シファ・ファウジア)
(インドネシア)
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