3月に全住民強制検査を実施、行政長官選挙は延期
(香港)
香港発
2022年02月24日
香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は2月22日夜の緊急記者会見で、3月に新型コロナウイルスの全住民強制検査を実施すると発表した。感染力の強いオミクロン株の爆発的増加にデルタ変異株が加わり、第5波(注1)感染が拡大していることから、全住民への強制検査を実施し、感染者の早期発見と早期隔離に努め、感染連鎖を断ち切るとしている。
強制検査以外に、現行の新型コロナウイルス関連規制(2022年2月9日記事参照)の延長や学校の夏休み前倒しなども併せて発表した。
詳細は以下のとおり。
【全住民強制検査】
- 3月実施。法的強制力があり、検査を受けない場合は罰則が科される。
- 実施期間中、全ての住民に対し3回のPCR検査を実施。検査は出生年別の予約制。
- 加えて、政府は簡易検査キットとKN95(もしくは同等の機能のマスク)を配布。強制検査の間(1回目と2回目および2回目と3回目の間)は、同キットを利用し毎日、自主検査。
【現行規制の延長】
- 公共の場における集合可能人数規制など現行の新型コロナウイルス関連規制は、4月20日まで延長。また、1月8日以降継続されている飲食店の夜間店舗内飲食禁止などの措置も同様に延長(注2)。
- 指定9カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、インド、ネパール、パキスタン、フィリピン、英国、米国)からの旅客便の香港着陸禁止措置を4月20日まで延長。
【学校関連】
- 幼稚園、小中学校(香港では高校が中学の中に含まれる)の7、8月の夏休みを3、4月に前倒し。4月下旬のイースター休暇後に授業再開。大学・専門学校は含まない。新学期は例年どおり9月開始。
- 園舎や校舎は、新型コロナウイルス検査場、隔離施設、ワクチン接種センターとして利用。
- DSE(大学入試試験)は、予定どおり4月22日に実施。
行政長官選挙は5月に延期
本会見に先立つ2月18日、林鄭長官は3月27日に予定していた次期行政長官選挙を5月8日に延期すると発表した。
同長官は本会見の冒頭でも選挙の延期について触れ、これからの2カ月は感染拡大抑制のため非常に重要な期間になることの証左とし、香港社会が一丸となって新型コロナウイルス感染を乗り越えるよう呼び掛けた。
(注1)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降および11月下旬以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」、2022年1月のオミクロン株感染拡大以降を「第5波」と呼んでいる。
(注2)2月24日、今回の会見での発表とは別に、全ての飲食店の1テーブル当たり着席人数を2人までとする措置が発表された。
(渕田裕介)
(香港)
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