2021年の出生数は5年連続で減少、出生率が過去最低の0.752%に
(中国)
北京発
2022年02月02日
国家統計局の1月17日の発表によると、2021年末の中国の総人口は14億1,260万人となり、2020年末から48万人増加した。一方、2021年の出生数は1,062万人と、2017年以降5年連続で減少した。出生率は0.752%となり、統計で確認できる中で過去最低となった(注1、添付資料図参照)。
年齢別でみると、生産年齢人口(16~59歳)が8億8,222万人となり、全人口の62.5%を占めた。65歳以上の人口は2億56万人で、全人口の14.2%を占めた。
国家統計局の寧吉喆局長は、出生数が減少した要因について、出産適齢期の女性人口が減少(注2)していること、結婚・出産年齢の上昇、出産・育児・教育に係る費用の増加、新型コロナウイルスの影響で結婚や出産の計画を遅らせていること、などが関係していると分析した。一方、出産適齢期の女性の人口規模が依然として大きい(3億人超)こと、3人目の出産を容認する政策の効果が今後徐々に表れてくること、平均寿命が延びていることなどにより、中国の総人口は今後も一定の期間は14億人以上の水準を維持していくことが可能との見通しを示した。
中国は少子高齢化に対応するため、1979年から導入していた「一人っ子政策」を見直し、出産制限を段階的に緩和してきた(注3)。2016年には、全ての夫婦に2人目の出産を認める「二人っ子政策」を実施した。その後、2021年5月の中央政治局会議において、夫婦1組につき3人までの出産を認める方針が打ち出され、7月には「出産政策の最適化による人口の均衡ある長期的発展の促進に関する決定」が公表された(2021年7月29日記事参照)。
出生者数の減少について、中国人口学会会長を務める中国人民大学人口・発展研究センターの翟振武主任は、出産意欲を高めるためには出産に向けた全面的な支援体制の整備が重要だと指摘した。その上で、産休以外に毎年一定期間の育児休暇を設けることや、女性に配慮した柔軟な雇用政策を実施し、家庭と仕事の両立を支援するべきとの見方を示した。加えて、出産・育児・教育にかかるコストを低減し、出産や育児に対する不安やプレッシャーを軽減することが、出産意欲や生育率の上昇につながるとコメントした(「中国新聞網」2022年1月17日)。
(注1)中国統計年鑑2021年版には、1978~2020年の出生率が記載されている。中国統計年鑑2021年版によると、出生率(粗出生率)は、一定期間内(通常は1年間)に一定の地域で生まれた人数と同地域の平均人数(年初人口と年末人口の平均数、年中人口で代替する場合もある)の比を千分率で表示したもの。本稿では便宜上、千分率を百分率に換算して表示している。
(注2)寧局長の説明によると、2021年の15~49歳の女性人口は前年比で約500万人減少しており、そのうち21~35歳の女性人口は前年から約300万人減少した。
(注3)2002年からは「双独二人っ子政策」(夫婦が2人とも一人っ子の場合、2人目の出産を認める政策)が開始され、2014年1月からは「単独二人っ子政策」(夫婦のどちらか一方が一人っ子である場合には2人目の出産を認めるという政策)が各省・自治区・直轄市で順次実施された。
(張敏)
(中国)
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