インドネシアのパーム油の輸出制限、国際市場にも影響
(インドネシア)
ジャカルタ発
2022年02月10日
インドネシアでは商業大臣規程2022年第2号が1月24日から施行され、パーム油生産者に固定価格で、輸出量の20%をインドネシア国内に供給することを義務付けられている。さらに、輸出者は国内供給量計画を提出するなどして政府から輸出許可を得る必要がある。政府としては国内における食用油の価格高騰を抑える狙いだが、国際市場にも影響を及ぼしている。
インドネシア商業省の市場モニタリングシステム(SP2KP)によると、食用油1リットルの国内価格は、2021年1月が1万3,200ルピア(約106円、1ルピア=約0.008円)だったのに対し、2022年1月は1万8,700ルピアと、約4割上昇している。同規程の対象となるのは、パーム油原油(CPO)、RBDパームオレイン(注)、および使用済み食用油となる。定められた固定価格(国内価格義務:DPO)は、CPOは1キロ当たり9,300ルピア、RBDパームオレインは1万300ルピアで、1月27日から有効となる(インドネシア商業省プレスリリース)。生産者は、輸出額や輸出先国、今後6カ月の流通計画を提出し、当局からの輸出許可を得る必要がある。ルトフィ商業相は「食用油の価格が安定し、国民にとって手頃な価格になると同時に、販売業者、流通業者、生産者にとっても利益が出ることを期待する」と述べた(「ジャカルタ・ポスト」紙1月28日)。
国際的な影響を懸念
インドネシアは、パーム油の世界最大の生産・輸出国となっている。2021年における生産量は4,450万トンで、世界全体の生産量の約6割を占める(米国農務省ウェブサイト)。グローバル・トレード・アトラスによると、2021年(1~11月)のCPO輸出額は約26億ドルで、インド向けが約20億ドルと全体の75%を占める。
国連食糧農業機関(FAO)が2月3日に発表した2022年1月の世界の食料価格指数の中で、植物油に関しては、今回のインドネシアの動きを受け185.9(2014~2016年を100とする)と、過去最高を記録した。インド、中国、パキスタンなどは、パーム油の代替品としての大豆油やひまわり油への切り替えを行う可能性があるとする(「IDXチャンネル」1月31日)。
(注)RBDパーム油は、CPOを脱酸、脱色、脱臭加工したパーム油。RBDパーム油からオレイン酸を抽出したものが、RBDパームオレインとなる。
(上野渉)
(インドネシア)
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