10月の米小売売上高、前月比1.7%増で3カ月連続増加、インフレ懸念が高まる
(米国)
ニューヨーク発
2021年11月18日
米国商務省の速報(11月16日付)によると、2021年10月の小売売上高(季節調整値)は前月比1.7%増の6,382億ドルと、3カ月連続の増加になった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想の1.4%増を上回った。なお、9月の売上高は0.7%増(速報値)から0.8%増に上方修正された(2021年10月18日記事参照)。
無店舗小売り、自動車・同部品、ガソリンスタンドなどが押し上げ要因
業種別にみると、無店舗小売りが前月比4.0%増の917億ドルで、寄与度0.56ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、自動車・同部品が1.8%増の1,266億ドル(寄与度:0.35ポイント)、ガソリンスタンドが3.9%増の540億ドル(0.33ポイント)で増加に寄与した。一方、衣料、ヘルスケアはそれぞれ0.7%減(261億ドル)、0.6%減(321億ドル)と減少した。
全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)は「10月の小売売上高は、ホリデーシーズンに向けた消費者の経済力と支出意欲の持続を反映している」と述べた。また、サプライチェーン問題や労働力不足、インフレの高まりなど、さまざまな課題はあるにもかかわらず、「消費者がホリデーシーズンの買い物を先取りしている」とし、個人消費は依然として力強いとの見方を示した(NRFプレスリリース11月16日)。
また、民間調査会社コンファレンスボードが10月26日に発表した10月の消費者信頼感指数は113.8と、9月(109.8)より4.0ポイント上昇し、4カ月ぶりの上昇となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現況指数は147.4(9月:144.3)で3.1ポイント上昇し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数も91.3(86.7)で4.6ポイント上昇した。
一方、米国労働省の発表によると、10月の消費者物価指数の前年同月比の上昇率は6.2%と、約30年ぶりの高水準に達した。米国ミシガン大学が11月12日に発表した11月の消費者信頼感指数(速報値)では66.8と、2011年以来、約10年ぶりの低水準になったが、同大学によると、先行きについて消費者は依然として高いインフレ率を予想している。1年後のインフレ期待は4.9%まで上昇するとしており、今後の消費の重しになると予想する。ミシガン大学の消費者調査部門のチーフエコノミスト、リチャード・カーティン氏は「インフレの高進による打撃を軽減する効果的な政策がまだ実施されていないという認識が消費者の間で広がっている」とし、「住宅や自動車、耐久財の価格上昇は、過去半世紀以上の間で最も頻繁に報告されている」と指摘した(「CNBC」11月12日)。
(樫葉さくら)
(米国)
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