政府がグリーンファイナンスに関する「持続可能な投資のロードマップ」発表
(英国)
ロンドン発
2021年10月25日
英国政府は10月18日、グリーンファイナンスに関する「持続可能な投資のロードマップ」を発表した。持続可能性の開示義務(Sustainability Disclosure Requirements)やグリーンタクソノミー(注1)など、投資における情報開示に焦点を当てている。
政府は「金融のグリーン化」には「投資家や消費者への情報提供」「情報に基づいた行動」「財務フローの移行」という3段階があると定義し、今回のロードマップは第1段階の「情報提供」に関する戦略を示したものとした。この段階では市場参加者の情報格差を是正すべく、企業から市場参加者への持続可能性に関する情報の流れを確保する。
ロードマップでは、市場参加者への適切な情報提供に関して「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、「企業による開示」「資産運用者と資産保有者による開示」「投資商品の開示」を開示義務の対象範囲にするとした。また、政府は開示義務の指標につき、国際基準がある場合はそれに基づくことで国際的な統一性を保つとしている。
次に、企業や投資家の意思決定の際に環境への影響を明確に把握できるようにすべく、持続可能性の定義を共通化したグリーンタクソノミーに関する方針を発表。投資家に対し企業の環境に与える影響について明瞭さと一貫性を与えるとともに、その理解を深め、企業へ基準を与えることを目指す。タクソノミーの類型としては、気候変動の緩和や適応、水・海洋資源の持続可能な利用と保護などの6項目を挙げている。
ロードマップでは「スチュワードシップ」(注2)の重要性についても言及。政府は投資家や年金運用機関に対して、財政報告評議会が2020年に発表した行動規範「英国スチュワードシップコード2020」への加盟を期待するとした。資産運用者と資産保有者の双方による効果的なスチュワードシップの導入は、気候や環境の変化によってもたらされるリスクや機会、影響の管理には不可欠とした。また、スチュワードシップは企業がネットゼロに対する実現の可能性と信頼性や、ネットゼロ経済に沿ったビジネスモデルの移行戦略について説明するための強力な手段となるとした。
(注1)環境的に持続可能と定義できるグリーン投資の基準。独立した専門家グループである「グリーンアドバイザリーグループ」の助言を得て、英国政府が提供する枠組み。
(注2)投資家らが顧客、受益者にとって長期的な価値を創出すべく、資本の責任ある分配、管理、監督を行い、経済、環境、社会にとって持続可能な利益を生むこと。
(尾崎翔太)
(英国)
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