国会がパリ協定の批准承認
(トルコ)
イスタンブール発
2021年10月13日
トルコ国会は10月6日、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定の批准を承認し、10月7日付官報で公式に発表した。
トルコは2016年4月22日にパリ協定に署名したが、トルコが先進国とともに、温室効果ガス(GHG)削減などでより大きな負担が求められる「付属書I国」に分類されていることに不満を表明し、G20では唯一批准を先送りにしていた。今回は「付属書I国」の分類に関しては現行のまま批准手続きを進めた一方で、国会の声明は「パリ協定を開発途上国として実施し、トルコの経済と社会的発展を損なわない限りにおいて責任を果たす」との条件を記載しており、トルコはあくまで「開発途上国」として地球温暖化対策を実施していくとの姿勢を表明している。
環境都市計画省のメフメット・エミン・ビルプナル副大臣は現地紙「アクシャム」(10月6日)に対し、「トルコはパリ協定の批准により、気候法、グリーンディール・アクションプランなどの気候変動に対する取り組みを加速させる。トルコは緑の気候基金(GCF、注1)の支援対象になっていないが、世界のさまざまな金融機関がパリ協定を批准している国々を対象にローンを提供するなどの支援を行うこともあるため、不利益はない」とコメントした。
政府は二酸化炭素(CO2)排出削減に関し、7月14日にグリーンディール・アクションプラン2021年を発表し、各省の関係者からなるグリーンディール委員会を設立した。
2015年に国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出した資料では、トルコは2030年までにBAU比(注2)で18~21%のCO2排出削減を目標としている。同プランでは、炭素税、排出量取引制度(ETS)など何らかのカーボンプライシング(注3)制度を2023年までに導入する準備を進めることも目標としている。
カーボンニュートラルに関しては、具体的な目標は公式には発表していないが、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、2053年のカーボンニュートラルの達成を目標にすると言及している。また、エクレム・イマムオール・イスタンブール広域市長は、イスタンブールを2050年までにカーボンニュートラルな都市にすることを目標としている。
(注1)開発途上国のGHG削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援するための国際的な基金。
(注2)Business As Usualの略。追加的な対策を講じなかった場合のGHG排出量のこと。
(注3)CO2排出に対して価格付けし、市場メカニズムを通じて排出を抑制する仕組み。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
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