台湾がCPTPPへの加入を正式に申請

(台湾)

中国北アジア課

2021年09月27日

台湾行政院は9月23日、台湾が、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加入を正式に申請したと発表した。22日午後に、同協定の寄託国であるニュージーランド外務貿易省に加入申請書を提出した。

9月23日午前に行われた記者会見で、行政院の羅秉成報道官は「CPTPPは現在、アジア太平洋地域、さらに世界で最も重要な地域経済統合協定で、加盟国のほとんどは台湾の重要な貿易パートナー国であり、台湾の国際貿易全体の24%以上を占めている。台湾だけがこれらの枠から外れるようなことはあってはならず、これら地域経済の枠組みに入り込むことは、台湾にとっては非常に重要だ」と指摘した。

国家発展委員会の龔明鑫主任委員は、CPTPP加入により2%以上の経済成長が見込まれるとし、加入しなかった場合には、0.5~0.6%のマイナスの影響があると指摘。また、加入による産業面への影響について、農業や自動車、自動車部品など、一部産業によってはマイナスの影響を受ける可能性があるとも述べた。

これに対し、農業委員会の陳吉仲主任委員は、今後の交渉に際しては、日本やベトナムなどの成功国を模範に、一部の農産物をゼロ関税の対象外にする方法もあると指摘し、保護すべきものは保護していけるよう加盟国と協議を行うと強調した。

中華経済研究院の張静貞経済所研究員は、CPTPP加入により、台湾の農産物の新規市場の開拓につながることを期待し、農産物の単一輸出市場となっている中国大陸への依存度低下も見込めると指摘。一方で、「どのような農産物を開放すべきか」「どのような農産物に関税割当を適用すべきか」「どのような保護措置を取るか」といった課題に直面するとも指摘した。

さらに、張研究員は、台湾は小規模農家が多く、大規模生産への対応が困難なため、対応策として民間のコンセンサスを得た上で、「輸出対象となる主力農産物」を選定すべきと提言した。また、農産物には鮮度があり、工業製品のように均一的に品質を保つことは難しいため、この機会に農産物のさらなる加工食品化を進めることで、検疫の問題も回避でき、保存期間も延ばすことができるのではないか、とコメントした。

同23日午後、蔡英文総統はツイッターを日本語で更新。「総統になってからこの水準の高い貿易協定の参加を準備してきました。我々は全てのルールを受け入れる用意があり、TPPに加盟したいと思っています」と強い意欲を示した。

(北野真瑞)

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