米連邦取引委、石油・ガソリン業界の不正行為への監視・監督強化
(米国)
ニューヨーク発
2021年09月02日
米国連邦取引委員会(FTC)は8月25日、ホワイトハウス宛ての書簡で、最近のガソリン価格高騰を踏まえ、石油・ガス業界で不正行為がないか、監視・監督を今後強化していくことを明らかにした。FTCは8月初旬に国家経済会議(NEC)のブライアン・ディーズ議長名でガソリン価格上昇につながる違法行為に対処するよう市場を監視してほしいとの書簡を受け取っており(2021年8月13日記事参照)、今回の表明はこの要請に応えたものとなる。
リナ・カーンFTC委員長名で発出した書簡では、これまでのFTCの政策が石油・ガス業界の全米規模の企業合併を可能にし、不正な価格調整や共謀行為に適した状況を作り出している可能性があるとして、NECの懸念に応えるため、FTCは所要の行動を取っていくとしている。具体的には、(1)大企業の市場支配力を低減させるため、家族経営などの小規模なガソリンスタンドの合併を差し止めるための追加的な法理論の特定、(2)石油・ガス業界の違法な合併を阻止するため、合併に対する事前承認制の採用、(3)フランチャイズ化されたガソリンスタンドに対して、大手チェーンから不当に高い価格での販売が強制されていないかについての調査の3つの取り組みを行っていくとしている。
米国自動車協会(AAA)によると、9月1日現在、1ガロン当たりのレギュラーガソリンの平均価格は3.17ドルで、1年前の平均価格(2.23ドル)と比べて高止まりが続く。今後の見通しについても、ガソリン価格低下の材料は乏しい。内務省によると、ハリケーン「アイダ」が南部を中心に襲った影響で、米メキシコ湾での石油生産の多くが停止しており、今後のガソリン価格への影響が懸念される。加えて、バイデン政権は8月11日にOPECとロシアなどの非加盟主要産油国で構成するOPECプラスに対し、原油の増産を求める声明を出したが、OPECプラスは9月1日に閣僚会議を開き、日量40万バレル増加させるとした7月の方針を再確認したとの声明を公表し、米国の要請を事実上拒否している。
(宮野慶太)
(米国)
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