バイデン米政権、半導体不足めぐり産業界と対話、サプライチェーンリスクに関するパブコメを募集

(米国)

ニューヨーク発

2021年09月27日

米国のバイデン政権は9月23日、半導体の供給不足に関する産業界との対話を行い、翌24日には、半導体サプライチェーンにおけるリスクに関する情報の収集を目的とした、パブリックコメントの募集を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで開始した。

半導体に関する産業界との対話は5月以来の開催となり、ジーナ・レモンド商務長官とブライアン・ディーズ国家経済会議委員長が主催した。各種報道によると、インテルやマイクロン、サムスン、TSMCといった世界を代表する半導体メーカーや、アップル、マイクロソフトなどエレクトロニクス企業に加え、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス、BMWなどの自動車メーカーが参加したとされている。

対話は、新型コロナウイルスのパンデミックによる半導体の供給不足への政権・産業界としての対応や、今後の再発防止策が主題となった。レモンド商務長官は開会あいさつで、事態は4カ月前より悪化していると指摘し、「いまだに具体的に何が起こっているかが不明瞭だ。例えば誰が過剰な発注を行っているか、または誰が期待されるレベルでの供給を行っていないかということが分からない」と述べ、政権側としては、市場全体を通した透明性の欠如を問題視していることを明らかにした。また、議会で審議されており、政権も早期成立を後押ししている半導体産業向け支援枠組みへの予算確保(注)にも言及し、適正な投資を行うためには産業界からの情報が今すぐに必要と訴えた。

対話を受け、商務省の産業安全保障局(BIS)は9月24日、11月8日を期限とする、産業界からの情報提供を求めるためのパブリックコメント募集にかかる官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公示した。官報は、各社のサプライチェーンに関する詳細な情報・データを求める内容となっており、あくまで任意での協力を求めるものだ。しかし、レモンド商務長官は、産業界の代表に対し、協力しない場合は国防生産法などを通じた強制力のある手段を講じる可能性がある、と伝えたことを明らかにしている(ブルームバーグ9月24日)。

政権はこのほかにも、東南アジアなどの諸外国政府と協力した重要な生産施設の稼働継続や、主要な貿易相手国における公衆衛生上の問題に関連した半導体サプライチェーンの混乱を未然に防ぐためのアラートシステムの構築に取り組んでいることを明らかにしている。後者の取り組みには、商務省と国務省が協力するほか、国際開発庁(USAID)と疾病予防管理センター(CDC)の専門家も動員するとしている。

(注)正式には「CHIPS for America Act」と呼ばれ、支援枠組み自体は「2021会計年度国防授権法」の一部として成立している。それに充当するための520億ドルの予算は、上院で6月に可決済みの「米国イノベーション・競争法案(S.1260)」に含まれており、現在下院で審議されている。なお、下院での可決見通しは立っていない。

(磯部真一)

(米国)

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